<事例1>220万回リツイート
<事例1a>TBSテレビ『サンデーモーニング』2017/10/15
〔風をよむ ふたつのフェイク(ニセ情報)〕
橋谷能理子アナ:投票日まで1週間と迫った衆議院選挙。ところがインターネット上で虚偽の記事や情報、いわゆるフェイク・ニュースが氾濫し、大きな問題となっています。例えば、「新党の名前がロシアの会社に既に商標登録されていて党の代表が唖然」、「新党の公認候補を目指す野党議員が憲法改正は前から賛成だと変節」、先月30日には解散直前に立ち上がったA党に同調せず、新たに旗揚げした別のB党に合流したある候補者のフェイク・ニュースが書き込まれます。そこには事実と異なり、「A党に公認申請していた」とありましたが、この情報が瞬く間に拡散。ツイッターでの転載を意味するリツイート数は220万以上にのぼりました。ネット上で氾濫するフェイク・ニュース、その影響は政治や選挙の世界において今や見過ごせないものとなっています。(中略)。衆院選投票日まであと1週間、私達は氾濫するネットの情報にどう接すればよいのでしょうか。
関口宏氏:二つのフェイク、偽りの情報であるが、二つとも疑いをかけて見ないといけない。
橋谷能理子アナ:そういう時代になったんですね。
関口宏氏:嫌な時代と言えば嫌な時代かもしれないが。皆さんはいかがか。
大宅映子氏:インターネットは一人一人が発信できる。一人でタダで世界中に発信できる。裏付けなし。責任も取らない。軽いノリでポンとやる。それが瞬時に拡散する。誰がチェックするかと言っても誰かが入ったらそれも恣意的になる。基本的には個人が考えをもって防衛するしかない。今、新聞を皆読まなくなった。新聞だったら興味がないものまで目に入る。だけど今のネットの愛用者は自分の好きなところだけ。判断の幅が狭くなる。
<事例1b>TBSテレビ『サンデーモーニング』 2017/10/22
水野真裕美アナ:ここで一つ訂正があります。先週の風をよむでお伝えした選挙に関するあるフェイクニュースについて「リツイート数が220万以上にのぼった」とお伝えしましたが、正しくは「230以上」でした。お詫びして停止します。
TBSテレビ『NEWS23』『サンデーモーニング』は、ネットのフェイク・ニュースが220万回以上リツイートされたことを報じましたが、その後、実際には230回以上であることが判明しました。両番組は、230回のフェイク・ニュースのリツイートを220万回と約1万倍も膨らませたフェイク・ニュースで、インターネットの言論を十把一絡げにフェイク・ニュースと誹謗中傷したのです。まさにテレビによるインターネットに対する言論弾圧と言えます。むしろネット以上に「裏付けなし」「責任を取らない」「瞬時に拡散する」フェイク・ニュースを流して選挙を操作しているのが、このような一部テレビ番組です。
リツイート220万回は、もしも真実であれば、当時世界史上4位の記録となりました。少し調べれば、この値が偽であることは簡単にわかるはずでした。ちなみに、この回の『サンデーモーニング』の視聴率は17.6%(ビデオリサーチ)であり、関東地区だけでも300万を優に超える世帯が当番組を観たことになります。まさに「軽いノリでポンとやった」ことが、選挙を前にした日本の数%以上の世帯に拡散しました。テレビとインターネットではその伝達量は比べ物にならないくらい違うのです。
徹底的にネット言論を貶めたフェイク・ニュース特集の根幹を揺るがす数値の誤りをまったく説明もせずに、局アナに軽く訂正させて済ませてしまうTBSテレビのコーポレート・ガヴァナンスは不誠実そのものです。選挙前に偽情報を使って莫大な有権者を心理操作した行為は民主主義の冒涜であり、許されるものではありません。
<事例2>麻生財務相のぶら下がり会見
<事例2>衆・予算委員会 2018/02/22
柚木道義議員(国民民主党):実は、記者の皆さんの質問も、安倍政権になって、特にこの一年、さらにはこの直近三カ月、四カ月で、どんどん削られているんです。調べてみて、本当にびっくりしました。国民の皆さんは、ちょっとぶら下がり会見と着座の会見室での会見との違いがなかなかわからないかもしれませんけれども、現実、どういうことが起こっているか。麻生財務大臣が閣議後記者会見の場所、会見室でやったのが八回。しかし、その他はすべてぶら下がりで、官邸三階のエントランスで五十一回、国会内では二十回。つまり、七十一回はぶら下がり会見なんですね。どういうことなんですか。
麻生財務大臣:この質問は、ぶら下がりの記者会見と書いてあったところに国会内と書いてありますが、国会内の会見はすべて着席です。だから、資料の前提が違っていますよ。
柚木議員:違いますよ!
麻生大臣:資料が間違っているんだから、資料が間違っていると申し上げて何が悪いんですか。
国会議員が情報を捻じ曲げて誇張するのは、国民を騙す姑息な行為に他なりません。そもそも座って会見しようが立って会見しようが、質問が削られるわけではありません。麻生大臣は、たとえ「官邸エントランスにおけるぶら下がり会見」であっても、さらなる質問がないかを確認してから会見を終えるのが通例でした。