誇張の誤謬
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

誇張の誤謬

Fallacy of extension / Stretching the Truth / Overstatement

自説に都合よく事実を誇張して前提にする

<説明>

「誇張の誤謬」とは、自説に都合よく事実を誇張して前提にするという論点歪曲の誤謬です。詭弁を使うマニピュレーターは、前提を意図的に歪曲することで自分にとって好都合な結論を導きます。

誤謬の形式
事実Fが存在する。
Aが事実Fを誇張し事実F’を偽造する。
Aが偽の事実F’を前提にして自説に都合のよい偽の結論C’を導く。

<例>

A:このダイエットサプリには「すぐに効果があって痩せられた」という皆様からの絶賛の声が続々と寄せられています。

B:すご~い!絶対欲し~い!でもお値段は高いんでしょ?

A:今から30分以内にお電話いただければ、なんと5割引きで提供いたします。ただし、お客様1人1瓶までとさせていただきます。さらに本日に限り、もう1瓶を無料でプレゼントさせていただきます。

B:え~!私もすぐに電話しなくちゃ!

A:フリーダイヤルは0120の…

ツッコミどころ満載なテレビショッピングのベタなやり取りにおいて、最も注意すべきポイントは、「すぐに効果があって痩せられた」という絶賛の声は「個人の感想」であり、誇張が含まれている可能性があるということです。さらには「絶賛の声が続々寄せられている」という文言にも誇張が含まれている可能性があります。

一般に誇張には2つのパターンがあります。1つは事物の定量的な「数」を事実よりも多く示す誇張であり、これは事実を検証できれば誤りを指摘することが可能です。もう1つは事物の評価を一般的な常識とはかけ離れた定性的表現で示す誇張であり、たとえ一般的常識と照らし合わせて誇張を指摘しても「個人の認識の違い」という理由で誇張を否定される可能性があります。