2020年10月16日、軌道上で物体の衝突が10%以上の確率で起こるとの予測があり、衝突した場合、スペースデブリが大量に発生してしまうということで騒ぎになりました。衝突を防止するために軌道上の物体を監視するLeoLabsのシミュレーションにより明らかになったものです。
twitter.com/LeoLabs_Space/status/1316147305125490694?s=20
結局、衝突は免れたものの、両物体の合計質量が2,800kg程度と大型だったこともあり、ヒヤッとするニュースでした。
コンステレーションなど、宇宙利用が進むにつれて問題が深刻化しているスペースデブリ。
各国の宇宙機関でも、本格的に技術検討や対策が議論されてきています。直近の民間企業の動きと合わせて俯瞰的に理解できるようまとめていきたいと思います。
スペースデブリとは~数、高度、事故例~
スペースデブリ(宇宙ごみ)とは、軌道上で不要になった物体のことを指します。使用済みまたは故障して使うことができなくなった人工衛星やロケットの上段から、塗料片、固体ロケットモータの燃えカスなど種類は様々ですが、半分以上を占めるのが、衛星の運用後に燃料が残っていたことによって起こる機体の爆発や、スペースデブリ同士の衝突により発生した破片です。

スペースデブリの数と速度
軌道上の物体は、基本的に米国宇宙戦略軍(USSTRATCOM)が監視しており、低軌道上で約10cm以上、静止軌道上で約1m以上の物体はすべてカタログ化されています。そのカタログによると、2019年までに観測されている軌道上物体は19,538個。1cm以上は50〜70万個、1mm以上は1億個以上と推定されています。
軌道上の物体は浮遊しているわけではなく、速度を持って周回しています。7〜8km/s程度で周回している場合、2つの物体が衝突する際の衝突速度は10〜15km/s。これは、ライフル銃の弾丸のスピードが1km/sであることを考えると、その10倍ものスピードで衝突することになります。
そのため、たとえ1mm程度のスペースデブリであったとしても、当たりどころが悪ければ運用中の衛星の故障、1cm以上の宇宙ごみの場合、ミッション終了につながる致命的な破壊となる可能性があります。
宇宙ごみは地球の周りに均等に分布しているわけではなく、よく使用される人気の軌道に数多く存在します。特に、コンステレーション・地球観測衛星で使用される高度700〜1,000kmは大変混雑しており、通信衛星や気象衛星等が使用する高度36,000kmの静止軌道近傍、GPS衛星が使用する高度20,000kmが混雑しています。