目次
個人事業主が法人化するタイミングは?
法人化によるメリットとデメリット

個人事業主が法人化するタイミングは?

個人事業主の場合、賃貸経営で得た収入が増えると、法人に比べ税率が高くなります。

不動産投資で得た年間所得が900万円を超えた場合、所得税率が法人税を上回ってしまいます。

中小法人・一般社団法人などの場合は、所得が800万円を超えると23.2%になるため、所得が900万円を超えたあたりで法人化した方がいいでしょう。

所得税の税率

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え330万円以下10%97,500円
330万円を超え695万円以下20%427,500円
695万円を超え900万円以下23%636,000円
900万円を超え1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え、4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

出典:国税庁 所得税の税率

法人税の税率

区分平成30年4月1日以降
開始事業年度
中小法人、一般社団法人等、公益法人等とみなされているものまたは人格のない社団等年800万円以下の部分19%または15%
中小法人、一般社団法人等、公益法人等とみなされているものまたは人格のない社団等年800万円超の部分23.2%

出典:国税庁 法人税の税率

法人化によるメリットとデメリット

個人事業主の不動産投資|懸念点や法人化すべきタイミングは?
(画像=『レイビー』より引用)

収入が増えたからといって必ず法人化すればいいというものではありません。

法人化するメリットもデメリットもありますので、それぞれ、どのようなメリット・デメリットなのかを確認した上で、自分の実情に合った選択をしていきましょう。

メリット

法人化すると、これまで支払っていた税金を減額できる可能性があります。また今後、不動産を相続する可能性がある場合、法人化しておくと節税対策になります。

そもそも法人には相続という概念が存在しないため、相続税や贈与税は発生しないのです。
また、法人化すると個人に比べて経費計上できる費用の種類が増えます。

例えば、個人事業主が加入している生命保険は経費にできませんが、法人化して、保険の契約者を法人、受取人を役員にすることで保険料を経費として計上することが可能になります。

デメリット

法人化には複雑な手続きが必要となります。
例えば、法人化に必要な書類の作成・法務局での申請手続きなど、全て自分でおこなうには2~3ヶ月以上かかることもあります。
専門知識を持つ行政書士や司法書士に依頼することもできますが、委託費用がかかります。

また、法人化すると会計が複雑になるため、税理士や会計士などに書類の作成を依頼する必要も出てくるので、そのための費用も発生します。

法人化すると団信は使えない

個人事業主の不動産投資|懸念点や法人化すべきタイミングは?
(画像=『レイビー』より引用)

個人で不動産投資をするにあたっては、団体信用生命保険(以下、団信)が使えるというメリットがあります。

団信は、もし融資を受けている契約者が亡くなった場合には代わりに保険で一括返済できる、というものです。

そのため、不動産投資ローンの契約者が亡くなった場合、相続人は残債を支払わずに物件を相続することが可能です。

しかし、団信の保険金額には1億円程度の上限(金融機関によっては3億円)があります。

そのため、これから不動産投資物件を増やしたい方は、団信によって享受するメリットにも限界があることから、場合によっては法人化することも検討すると良いでしょう。

詳しくは「不動産投資が生命保険の代わりになる理由と覚えておきたいリスクとは」でもご紹介しています。あわせてご覧ください。