不動産投資をする上でしっかりと把握しておく必要がある「経費」。経費を正しく計上することで、節税につながります。ここでは不動産投資で認められる経費や、認められない経費を項目ごとに詳しく紹介します。また、不動産を保有したら行わなければならない確定申告の方法や節税のコツについてもまとめています。
経費は不動産所得に影響を与える
経費とは「事業にかかる費用」のことです。例えば、会社で仕事をする上で文房具やパソコン、社用車などさまざまなツールが必要になりますが、これらを購入するあるいはメンテナンスする費用は経費扱いになります。
もちろん、不動産投資でも物件の調査、購入あるいは維持のためにさまざまな費用が発生します。不動産投資を行い、利益をあげるために使った費用は経費となります。
経費と税金の関係性
不動産を保有していると、固定資産税・都市計画税がかかります。また、家賃収入から経費を差し引いた利益に対して、所得税・住民税がかかります。
不動産を保有するとかかる「固定資産税」と「都市計画税」
不動産を保有している人には「固定資産税」が発生します。これに加えて都市部の物件を保有している場合は「都市計画税」もかかります。
「固定資産税」と「都市計画税」の計算式
保有している土地や建物の金額(税率をかける金額)を課税標準といい、「固定資産税」はこれに税率をかけて税額が決まります。税率は市町村によって異なり、多くの地域で「固定資産税」は1.4%、「都市計画税」が0.3%となっています。つまり、
固定資産税の税額=課税標準×1.4%
都市計画税の税額=課税標準×0.3%
という計算式になります。
課税標準は原則として「固定資産税評価額」で、購入価額の5~6割と低くなります。土地は「小規模住宅用地」として、課税標準が6分の1(200㎡まで)、建物については新築の場合は減免措置があります。「固定資産税」と「都市計画税」を合算すると税率は1.7%になりますが、実際にかけられる税額は「購入金額の 0.5%前後」になるのが一般的です。
計算がややこしく感じるかもしれませんが、市区町村から決定した税額を記載した書面が送付されるので書面に従って納付すれば大丈夫です。逆にいえば「固定資産税」や「都市計画税」は、決められた税額を税務署に納めることから節税しようと思っても困難なのです。
利益が出たら、他の所得と合算して所得税を計算する
家賃収入が経費よりも大きかった場合、すなわち利益が出た場合には、所得税が発生します。翌年、住民税も納付することになります。
所得税は原則として「総合課税」の仕組みになっています。利子所得などは、他の所得と合算せず、利子の額だけで税金を計算しますが、不動産投資によって得た所得(不動産所得)は、給与などの他の所得と合算し、それに対して税金を計算します。
所得とは「収入」から「経費」を差し引いたものを指します。例えば、不動産投資で400万円の収入を得るために200万円の経費を使ったら、200万円が所得として課税対象となります。
確定申告では、不動産投資も含めた全ての収入(総収入)を申告する必要があります。具体的に、会社勤めをしながら不動産投資を行っている方を例に挙げてみましょう。
会社からの給料が500万円、不動産投資で400万円の収入を得ている場合は、総収入が900万円となります。不動産投資で200万円の経費を使ったとすると、所得は700万円となります(注:給与取得控除は省略します)。
ここで気づかれた方もいらっしゃるかと思いますが、経費が多ければ多いほど、課税対象となる所得は少なくなります。例えば、上記の例で経費が500万円かかったとすると、課税対象となる所得は400万円です。
前述のように、所得税は所得に応じて税額が決められますので、経費をしっかりと計上して申告することで、税金は安くなります。逆に、本来なら経費計上できるにもかかわらず、計上せずに確定申告することで、税金を多く払い過ぎてしまって損をするケースもあり得ます。また、節税しようとして何でもかんでも経費に計上してしまい、税務署から脱税を疑われるというトラブルも考えられるでしょう。
損をしないために、トラブルを防ぐために、経費に関する正しい知識を身につけることが重要です。