■ 個性の強い子どもが多い
保育士になって衝撃を受けたのは、子どもひとりひとりの個性が想像以上に強いことでした。怒りっぽい子、落ち込みやすい子、我慢強い子、甘えん坊な子……子どもの数だけ個性があることを痛感しました。
特に、私のような新人の保育士がとても難しいと感じるのはグレーゾーンの子どもたち。
グレーゾーンとは「保育園での集団行動で、不適応行動があるものの、発達障害の診断がついていない子」のことです。診断がついていない子の中には、未受診の子どもも含まれます。
発達障害の診断が付くと、加配と呼ばれる保育士が付き、その子にあわせて園生活をサポートしてくれます。グレーゾーンや発達障害の子の中には、こだわりが強く、気持ちの転換が難しい子もいます。診断が付いていれば、遊びの時間が過ぎても、パズルを最後までやらせてあげたり、気のすむまで園庭で遊ばせてあげたり、ストレスを軽減し安定した園生活を送ることができます。
反対に、グレーゾーンの子たちには特別に保育士がつくことはできず、特別扱いもできないため、他の子と同じように生活をしなければなりません。
教室から猛ダッシュで飛び出してしまう子、お友達に次々に危害を加える子、自分で自分のことを叩いてしまう子、急に泣き叫ぶ子、手洗いが病的にやめられない子……。未熟者の私にとって、その子たちに他の子と同じように行動してもらうのは至難の業です。
保育士になる前に描いていた、ゆっくり絵本を読んだり、子どもたちと楽しく一緒に遊んだり。現実はそんなに甘くありませんでした。それぞれの子に合わせた保育、正解がわからない中で、日々試行錯誤を繰り返しています。
■ 先生が教室から消える!?子どもだけで過ごす時間
私が保育士になって最も驚いたのは、先生が教室からいなくなるタイミングがある!ことです。乳児クラスは、複数の保育士がいるので、乳児だけになることはありませんが、幼児クラスでは、毎日起こる問題です。
想像してください。園児30人が、教室に子どもだけでいる光景。もし保育士不在の間にケンカになったら?もし誰かが教室から出ていってしまったら?たとえ数分だとしても心配でたまりません。
私の働いている保育園では、配膳も全て保育士が行うため、給食室まで給食のワゴンを取りに行かなければなりません。いくら急いでも5分以上はかかります。
また、トイレが死角になっている教室もあるため、どちらも一緒に見ることが出来ません。嘔吐やお漏らしがあったときも教室を離れて処理をしなければなりません。
実際に、保育士がいない間にもめごとが起こることは良くありますし、子どもだけのトイレでケンカが始まることも。
保育士不足が蔓延し、この状況に慣れてしまっているのか、それとも私が過保護なのか……。今でも子どもたちをおいて教室を離れるのは不安でたまりません。
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以上、保育士になって驚いたことを、ママ目線でお伝えしました。
何度も言いますが、全ての保育園がそうであるとは限りません。自治体によって随分差があるようで、設備の行き届いた新しい保育園もたくさんあります。少しでも保育園の日常を知ってもらえると嬉しいです。
【一柳ひとみ:筆者プロフィール】
都心にあるシティホテルで、サービススタッフ、宴会担当や婚礼担当(ウエディングプランナー)として、10年以上勤務。現在は3児の子をもつ母。保育士として働きつつ、臨時で結婚式の仕事やライター業も行っている。
文・一柳ひとみ/提供元・おたくま経済新聞
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