FX取引のシストレを「難しそう」と感じ敬遠している方も多いだろう。しかし、専門知識が無いFX初心者でもプロと同様のトレードを実現できるのがシストレの魅力だ。メリットは「操作性」「利便性」の高さで、24時間どんな時でも利益が狙えるという特徴がある。

1,FXのシストレとは何か?

FX初心者でも、すぐに利用できるのがシストレの魅力だ。「自分には関係ない」と決めつけてしまうと大きな損をすることになるかもしれない。そこで、まずはFXにおけるシストレの基礎知識について説明しよう。

シストレによって自動売買が可能になる

システムトレード(シストレ)とは、自動売買のシステムに設定を行い、機械的なトレードを繰り返す方法のことである。例えば「1ドル98円になれば買い、1ドル101円になれば売る」と設定すれば、あとはルール通りに自動で取引が可能となる。これまでチャートを見たり、自分で売買したりしていた手間を大幅に減少させることができるのだ。

これだけではなく、実際には細かな戦略に基づいて設定したり、相場に合わせた設定を施したりすることで、利益を伸ばすことができる。シストレに設定するプログラムのことを「ストラテジー」と呼ぶ。

シストレと裁量取引の違い

シストレを利用することで、規則正しいFX取引をすることが可能だ。特にFX初心者のうちは「欲」や「感情」の影響を受け、なかなか自分の望む取引ができないということもあるので、「機械的」に取引ができるシストレは有効だろう。

一方、取引をすべて手動で行うことを「裁量取引」という。裁量取引を行うためにはそれなりの経験やスキルを基に、自身の判断基準が必要となる。裁量取引とシストレ(自動取引)の違いについて、それぞれの特徴をまとめると下記のようになる。

<裁量取引>
取引方法:相場状況に応じてトレード
特徴:柔軟性
取引コスト:低い
勝敗を決める要因:経験や独自の取引手法

<シストレ(自動取引)>
取引方法:あらかじめ設定した通りにシステムがトレード
特徴:規則的
取引コスト:やや高め
勝敗を決める要因:設定したプログラムが相場にあうかどうか

2,シストレの3つのメリット

シストレを利用する代表的なメリットを3つ挙げる。

メリット1,24時間利益を逃さない体制が構築できる

シストレならば24時間いつでも利益が狙える。システムが自動的に売買を行うため、就寝中や仕事中でも自動で取引が行われるのだ。

外国為替取引が活発な市場の一つに、ニューヨーク市場がある。ニューヨーク市場に合わせて自ら取引をしようとすると、日本時間でいえば「夜~早朝」の時間帯となってしまう。シストレではなく裁量トレードをするとなると、チャートを常に確認しながら取引タイミングを図る必要があり、昼夜が逆転することになるだろう。

その点、シストレは事前に設定した通りに24時間稼働してくれるため、収益のチャンスを逃すことがない。

メリット2,FXの専門知識がなくてもトレードできる

FX取引には、移動平均線やボリンジャーバンド(価格変動範囲を予測するための指標)をベースにする「テクニカル分析」、要人の発信・発言や統計などを基にした「ファンダメンタルズ分析」などの分析手法がある。さまざまな用語や知識を身につけ、分析手法を学び実践するには、多くの時間が必要となる。

しかし、シストレを利用すれば、FX会社がそれぞれ用意する売買ルール(ストラテジー)を選択して発注するだけだ。専門的な知識がなくても、簡単にプロ同様のFX取引が可能になる。

メリット3,取引時に感情に影響されない

FX取引で失敗する大きな要因は「損切りできなかったこと」が影響している。すでに含み損を抱えているにもかかわらず「損をしたくない」という強い感情が働き、ポジションを保有し続けた結果、さらに被害が大きくなるケースだ。

相場が優位な方向に変わることなく、含み損が膨らみ、ロスカットで資金を大きく失うということが実際にある。人間には「感情」が必ずあり、それに影響されると冷静な判断を下せなくなることがある。

シストレを活用すれば、人間のように感情に影響されて取引に失敗するようなことはない。シストレは感情ではなく、設定に基づいているので、確実な利益確定と損切りが可能だ。この安定性こそが、シストレの大きなメリットとなる。

3,シストレは「リピート系」「売買一任系」「自作系」の3種類

シストレには大きく3つの種類がある。それぞれの特徴を挙げ、メリット・デメリット、どういった人におすすめなのかについて解説する。また、有名なシストレの具体例もそれぞれ紹介する。

1,リピート系

リピート型とは自ら値幅を決め、その範囲で繰り返しトレードをする仕組みを指す。この仕組みは、実のところ注文と決済を同時に行う「IFD注文(イフダン注文)」を繰り返しているのと同じだ。イフダン注文とは、一つ目の新規注文が約定したあと、決済注文としての二つ目の注文も自動的に有効になる注文方法のことだ。

リピート型のメリットはレンジ相場(一定の価格内で推移する相場)に強いため、利益をコツコツと積み上げてくれることだろう。一方、相場の流れや値幅を予想できる力が必要になることはデメリットといえるかもしれない。

システムトレード初心者には、低リスクな取引ができる「リピート系」をおすすめしたい。代表的なリピート系のシストレには、「トライオートFX」(インヴァスト証券)や「トラリピ」(マネースクエア)などがある。

2,売買一任系

売買一任系とは、FX会社から提供されている自動売買プログラムに全て任せて取引する仕組みのことだ。あらかじめプログラムされたルール通りに取引されるので、リピート系のように自ら注文価格を指定する必要はない。

ユーザー側に、設定などの手間がかからないことはメリットといえる。デメリットはその反対に、独自のルールや基準を反映できないことから、自ら設定したい方には向かない。

プログラムを丸ごと採用できる売買一任系は、忙しいサラリーマンや主婦の方などにおすすめだ。代表的なシストレには、「みんなのシストレ」(トレイダーズ証券)などがある。

3,自作系

自作系は、自分で構築したストラテジーをシステム取引に適用させる方法のことだ。自分の思い描くストラテジーを自由に組み込めることが最大のメリットだろう。自分だけの勝利の法則を掴むことができれば、大きな利益を得られる可能性もあるのだ。

一方、自由度が高い自作系だが、VPSサーバーや売買プログラムについての知識が必要となるのはデメリットといえるかもしれない。よって初心者ではなく、FXについての経験豊富なトレーダー向きといえる。自作系で有名なのが「MetaTrader 4(MT4)」だ。MT4は自由度が高く、取引にかかるコスト低減にもつながる。

4,おすすめのシストレ5選を紹介

シストレは取引にかかる時間や手間を少なくしたり、精神面での影響を軽減したりなど、さまざまな効果が期待できる。そこで初心者でもすぐに利用できるおすすめのシストレをピックアップした。

1,トライオートFX

シストレをこれから始めるという方には、インヴァスト証券提供の「トライオートFX」をおすすめする。リピート系のトライオートFXは誰でも簡単に取引できるように簡素化された設計となっており、直感的な操作が可能だ。

「コアレンジャー」と「スワッパー」という2種類の販売ロジックに基づいた手法があり、自分の投資スタイルに合わせた取引ができる。また、トライオートFXは1,000通貨単位から取引できるので、より少ない予算でシストレが始められる。

2,ループイフダン

アイネット証券が提供する「ループイフダン」は、リピート系の代表格ともいえるシストレである。一番の特徴は「手数料の安さ」だ。取引回数が増えても、他のシストレより安く取引できることは大きなメリットとなる。

通貨ペアも豊富で、全20種類のラインナップだ。ひまわり証券でも同じくライセンスをアイネット証券から受けている「ループ・イフダン」を取り扱っている。

ツールの仕様などは同様だが、アイネット証券の方が「スワップポイントが高い」「通貨ペア数も豊富」という特徴があるので、アイネット証券のループイフダンの方をおすすめする。

3,トラリピ

リピート系の中でも古株なのがマネースクエアの「トラリピ」だ。他のリピート系のシストレは、このトラリピのロジックがベースとなっている。

トラリピ管理表という機能があり、好成績のストラテジーを一覧化している。シストレ初心者でも結果が期待できるストラテジーを選択できることが大きな特徴だ。取引手数料を無料としており、長期運用に適したシストレのひとつといえるだろう。

4,iサイクル2取引

外為オンライン提供の「iサイクル2取引」は、相場変動に連同する形で設定通りに注文幅が追従される。

iサイクル2取引もリピート系シストレのひとつであるが、「マトリクス方式」というストラテジーの中でもより有利な取引を提示してくれるため、初心者でも安心して使えるシステムだ。

5,auカブコム FX

auカブコム証券のauカブコム FXは全自動取引実装の売買一任系ツールだ。「低スプレッド」と「取引手数料無料」が特徴。最小取引単価も1,000単位からと、シストレ初心者でも気軽に始められる。

また、auカブコム FXで差し入れる資産と、他の裁量取引したFX資産が一括管理できたり、裁量取引と同じプラットフォームを利用できたりといった点は他のシストレにはない大きな特徴といえる。

5,シストレの3つのデメリット・注意点

シストレのメリットだけでなく、デメリットや注意点についても理解しておくべきだろう。それぞれ内容を正しく認識して、今後のFXトレード戦略に活かしていただきたい。

デメリット・注意点1,裁量取引よりも多くの資金が必要

裁量取引の場合、4,000円程度から取引可能だが、シストレによるトレードの場合は最低でも5〜10万円程度の資金が必要となる。利益を早く最大化したいという場合は、その分大きな資金を用意しなければならない。

デメリット・注意点2,資金が増えるまでにある程度の時間が必要

シストレは裁量取引に比べ、資金の増加は緩やかだ。大きな利益狙いの戦略よりも、確実に利益を増やしていくことが目的のため、資金の増加速度は裁量取引に劣ることを認識しておくべきだろう。その分、リスクを低減しているともいえるのだ。

デメリット・注意点3,相場急変時の対応力が低い

シストレはどちらかといえば短期的よりも中長期的の運用をベースとしており、目先の相場変動では利益を狙っていない場合が多い。

シストレは相場が急騰や急落したとしても、事前に設定された基準通りに自動売買を行う。その分、目先の大きな利益を狙えるチャンスが現れたとしても、基本的には対応できない可能性が高いだろう。

一方でこうした含み損を抱えても、中長期に運用することで、損失を吸収してプラスに転じる仕組みである。

6,シストレの利用でFX取引は効率化できる

ここまでFX初心者やシストレ未経験者の方でもシストレを利用できるよう、基礎知識やメリット・デメリット、おすすめのシストレなどを紹介した。何となく難しそうと感じてシストレにチャレンジしてこなかった人は、まずは、比較的簡単な「リピート型」のシストレから開始してみてはいかがだろうか。FX取引は、シストレを利用することで大きく効率化できることだろう。

近藤真理
執筆・近藤真理
南山大学外国語学部卒業。野村證券の引受部門で勤務後、ビジネス系翻訳や工業系翻訳業務に従事。
2013年より、総合証券とネット証券を使い分けながら、資産運用を開始。2017年から各種WEBサイトのフリーライターとして活動、現在は経済金融系記事を中心に執筆している。

■保有資格
証券外務員一種、二種
投資診断士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
AFP認定者
南山大学外国語学部卒業。野村證券の引受部門で勤務後、ビジネス系翻訳や工業系翻訳業務に従事。
2013年より、総合証券とネット証券を使い分けながら、資産運用を開始。2017年から各種WEBサイトのフリーライターとして活動、現在は経済金融系記事を中心に執筆している。
■保有資格
証券外務員一種、二種
投資診断士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
AFP認定者

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