「万が一、FX会社が破綻した場合、その資産はどうなるのか」「悪徳FX会社に資金を奪われることはないのか」など、FX会社に資金を預ける際に不安を覚える方も多いだろう。しかし、日本のFX会社の多くは「信託保全」というシステムを導入しており、資産は保護されている。ここではでは、信託保全の概要や信託保全の種類、国内FX業者における信託保全の状況について紹介する。

目次
1,信託保全とは?
2,2種類の信託保全を解説
3,FX業者が破綻することはあるのか?
4,国内FX業者の信託保全状況は?
5,投資家の資産は安全に保護、返還されるため安心

1,信託保全とは?FX業者が破綻してもユーザーの資産を保護する仕組み

信託保全とは、顧客から預かる資金とFX会社の資産をそれぞれ区分し、信託銀行に委託して管理したり、保全したりする仕組みのことだ。この管理方法は金融商品取引法や関連法令などの法律で義務化されている。

信託保全のシステムがあることで、万が一、FX会社が破綻してしまった場合でも、私たちが預けた資金は守られる。破綻の影響からFX会社の財産が差し押さえられたとしても、顧客の財産は差し押さえの対象とならない。信託財産は、信託銀行などの第三者が管理するため、もし破綻したとしても、顧客に資金が返済されるシステムになっているのだ。

※筆者が信託保全の仕組みを簡略化して作成した

2,2種類の信託保全を解説

投資家にとって心強い信託保全には2種類ある。FX会社が信託契約を結んだ金融機関の信託口座に、証拠金などを「全部」預けるものと、「一部」を預け入れるものだ。前者であれば破綻時に全額が返還されるが、後者では返還額に上限が設けられている。また、そのほかに、信託口座を利用しないでFX会社が自社で管理するという方法もある。

それぞれの特徴について解説する。

2-1,信託保全の種類……完全信託保全

まず1つめは「完全信託保全」だ。顧客の全資産を委託先の金融機関の信託口座に預けることで、FX会社の資産と完全に分別された状態で管理している。

保全対象は次の通りだ。

  • 証拠金
  • 決済損益
  • 評価損益やスワップポイントの加減算後の全額

現在は、完全信託保全による顧客の資産管理が法律で義務付けられており、国内の全FX業者がこの仕組みを取り入れている。完全信託保全ならば万一FX会社が破綻しても、投資家の資産は全額補償される。

2-2,信託保全の種類……一部信託保全

2つめが「一部信託保全」だ。投資家から預かる資金の一部だけを信託口座に預け、残りはすべてFX業者側で管理する。FX会社が破綻した場合、投資家に返還される補償額に上限が設けられている制度だ。

過去には、一部のFX業者が「一部信託保全」を採用していた。あるFX会社では、代表が投資家の預けた資金を私的流用するという事件もあったのだ。

現在、一部信託保全を行うFX会社は日本国内に存在しない。

2-3,信託保全の種類……分別保管

信託保全とは別の資産管理方法に、「分別保管」というものもある。海外のFX会社の多くがこの管理方法を採用している。これは第三者の信託口座を使わずに自社で資金を管理する方法だ。投資家から預かる資金とFX会社の自己資産とを自社内で完全に分けて管理する。この管理方法であれば、FX業者が破綻しない限り、投資家が預ける資金は安全である。

ただし、FX業者が破綻した場合、分別保管する口座も含めて差し押さえとなる可能性もあるだろう。つまり、分別保管では預けた資金が投資家に必ず戻るとは限らないということだ。

3,FX業者が破綻することはあるのか?

FX業者が破綻することはありえるが、可能性としてはかなり低い。日本国内のFX業者であればレバレッジ規制による強制決済などによって、破綻リスクが抑制されているためだ。

とはいえ、絶対に破綻しないという確証はなく、過去には破綻事例もある。そこで、信託保全がありながらも実際に破綻してしまったFX業者の事例や、破綻後に資金がどのようになったのかを紹介する。

日本のFX会社における破綻事例

現在では日本国内のFX業者であれば、完全信託保全の導入が義務化されているので、安心安全に取引できる。

しかし、1998~2008年頃までは、顧客から預かった資産を自社の資産と分けて管理しない業者が多く存在していたことも事実だ。そこで、これまで実際に倒産したFX業者の破綻例を見ていこう。

また倒産だけでなく、廃業にも注意しなければならない。

業者名 破綻時期 内容
札幌FX 2007年10月 サブプライム取引で失敗し、23億の借金を抱える
アルファーFX 2007年11月 会社関係者が資金を持ち出し、夜逃げしたとされる
日本ファースト
証券
2008年3月 30億以上の負債を抱え破綻

この他に、2008年9月にトレイダーズFXがFX事業を停止したり、2011年にはひまわり証券がリーマンショックの影響を受けて業務停止に追い込まれたりした。さらに、2011年11月に121証券の自己資本率が100%を切り、行政処分となっている。

ここで紹介した事例以外に、廃業してしまったFX業者もあり、破綻だけでなく廃業にも注意を払う必要があるだろう。

破綻したときユーザーの資産はどうなったか?

FX業者が破綻した場合、自身が預けた資産はどうなってしまうのだろうか。

2007年に破綻した札幌FXを例に見てみよう。同社は、資産の適正管理のために定められる「金融商品取引法」に違反し、大きな損失を与えたとして業務停止命令を受け破産した。
 
このとき、債権者に最終的に配当されたのは「5%」だけだったとされている。当時、金融庁が行った緊急調査によると、自社の持つ資産と顧客から預かる資産を同じ口座で管理する業者が全体の4割以上にものぼったという。また、過去には「証拠金返還がゼロ」という事例もあった。

金融庁はこれらの経験から制度を改め、自社資産と顧客資産を分けて管理するように、信託保全の導入を義務付けたのである。

## 4,国内FX業者の信託保全状況は? 上述したように、国内のFX業者は完全信託保全を採用している。下表に示すように、どの業者でも安心して取引することが可能だ。
FX会社 信託保全の状況
GMOクリック証券 完全
ヒロセ通商 完全
DMM FX 完全
外為オンライン 完全
FXプライムbyGMO 完全
SBIFXトレード 完全
楽天証券 完全
外貨ex byGMO 完全
ひまわり証券 完全
みんなのFX 完全
マネックスFX 完全
マネーパートナーズ 完全
外為ジャパン 完全
マネースクエア 完全
上田ハーローFX 完全
セントラル短資FX 完全
FXブロードネット 完全
SBIネオトレード証券 完全
JFX 完全
サクソバンク証券 完全
アイネット証券 完全
LIGHT FX 完全
auカブコム証券 完全
インヴァスト証券 完全
岡三オンライン証券 完全

5,投資家の資産は安全に保護、返還されるので安心

ここまで信託保全の概要や種類、国内のFX業者における信託保全状況などについて紹介してきた。

もし、FX業者や信託保全先が破綻するようなことがあっても、投資家が預けている資産は安全に保護され、必ず手元に戻ってくるように法律で定められている。よって、日本のFX業者であれば、お金について心配する必要はなく、安心してFX取引を開始できるのだ。

ただし、FX取引を行う中で発生した利益や損失に関しては、自身で管理する必要である。リスクヘッジや資金の管理など、安定したトレードを心がけよう。

 

近藤真理
監修者・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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