「ダウの犬」投資法とは?2019年最新銘柄や日本株への応用方法など、利回り重視のポートフォリオ概要を解説

2019.11.27
INVESTMENT
(写真=The Dog Photographer/Shutterstock.com)
(写真=The Dog Photographer/Shutterstock.com)
「ダウの犬」投資法とは、NYダウを構成する優良な高配当利回り銘柄だけでポートフォリオを組む投資方法のこと。投資文化が根付く米国で生まれた長期投資に最適な「ダウの犬」投資法の概要と、日本株への応用の仕方を解説しよう。

目次
1,「ダウの犬」投資法とは?3ステップでやり方を解説
2,「ダウの犬」投資法の3つのメリット
3,「ダウの犬」投資法の4つのデメリット
4,「ダウの犬」投資法が投資初心者に向いている3つの理由
5,「ダウの犬」投資法の誕生・意味と過去の実績、銘柄を紹介
6,日本株版ダウの犬投資法「TOPIX Core 30 ハイイールド投資法」 ポートフォリオの内訳は?
7,「ダウの犬」投資法は長期投資のお手軽で確実な投資戦略

1,「ダウの犬」投資法とは?3ステップでやり方を解説

ダウの犬投資法に則ってポートフォリオを組むのは簡単で、3ステップできる。手順を覚えてしまえば、手間のかかるファンダメンタル分析やテクニカル分析も必要ない。銘柄を決めて購入してしまえば、その後は一般的な株式投資と違って日々の株価変動に一喜一憂することもない。

専門知識不要で手間いらずの投資法なので、株式投資初心者でも比較的簡単に実践できる。3ステップは以下のとおりだ。

ステップ1

12月31日時点の株価で、NYダウを構成する30銘柄の配当利回りを算出し、配当利回りが高い順に並べる。上位10銘柄でポートフォリオを組んで、年初に10銘柄をそれぞれ同じ金額で一括購入する。

ステップ2

1年後の12月31日時点の株価を基準にして、再度NYダウ30銘柄を配当利回りが高い順に並べて、上位10銘柄とステップ1で選択した10銘柄とを比較する。年初に上位10銘柄から外れた銘柄を売却し、新たに加わった銘柄を購入する。

ステップ3

以降1年ごとに②を行い、ポートフォリオのリバランスを行う。

ここでは高配当利回りの10銘柄を選ぶ基本戦略を紹介したが、他にも5銘柄のパターンや1銘柄のパターンもあるので、手持ち資金に応じて使い分けるといいだろう。

2,「ダウの犬」投資法の3つのメリット

ダウの犬投資法のメリットを端的にまとめてみよう。

メリット1――ダウの犬銘柄の安全性の高さ

ポートフォリオはすべてNYダウ構成銘柄で、長年にわたって成長を持続し、増配が続いている企業ばかりだ。業績や財務状況などの健全性も高いので、安心して投資できる。

メリット2 ――専門知識がなくても投資判断ができる

投資方法がシンプルということも大きなメリットだ。この投資法に則れば、高度な専門知識がなくても取引できる。

メリット3――忙しい人でも始められる

ポートフォリオを組んだら放置し、1年に1度だけリバランスするだけなので、忙しい人でも気軽に取り組めるのも大きなメリットだ。

3,「ダウの犬」投資法の4つのデメリット

ダウの犬投資法には、デメリットもある。以下の点を考慮して、ダウの犬投資法を実践するかどうかを判断してほしい。

デメリット1,無配の成長株だと、ダウの犬銘柄には組み込まれない

2019年11月時点では、NYダウ30銘柄に無配銘柄はない。しかし成長著しい企業では、利益の大半を設備投資や研究開発費などに回すために、配当を実施しないことがある。今後NYダウにIT系などの新興成長株が採用されても、配当を実施していなければダウの犬銘柄としてポートフォリオに組み入れることができない。つまりこの方法だけで投資をしていると、手に入るかもしれない大きなキャピタルゲインを逃してしまう可能性があるのだ。

たとえば、NYダウ構成銘柄のシスコ・システムズは2010年まで配当を実施していなかった。(※利益を再投資に充てるための無配だったが、2011年以降は増配を継続している。)

デメリット2,深刻な財政悪化が続く場合、パフォーマンスが伸び悩む

高配当利回りであっても、個別銘柄で経営基盤が揺らぐほどの財政悪化が続いている場合、ダウの犬銘柄全体のパフォーマンスが低迷することがある。

デメリット3,NYダウの値上がり率のほうが、ダウの犬銘柄の値上がり率を上回ることも

株式市場全体が上昇基調にあるとき、ダウ工業株30種の株価の値上がり率のほうが、ダウの犬銘柄全体の値上がり率を上回ることがある。

デメリット4,大型の優良銘柄なので、投資金額がかさむ

ダウの犬投資法で選定される銘柄は大型の優良株ばかりなので、株価が高いものが多い。10銘柄にそれぞれ同じ金額を一括投資するので、投資金額が大きくなりやすい。 

4,ダウの犬投資法が投資初心者に向いている3つの理由

ダウの犬投資法が投資初心者に適しているのは、ある意味で株式投資の王道だからだ。その理由を説明していこう。

理由1,対象は大型の超優良銘柄ばかり

ダウの犬投資法の対象は米国を代表する株価指数「NYダウ」を構成する30銘柄であり、IBM <IBM>、エクソン・モービル <XOM> 、ファイザー <PFE> など世界的に有名な大企業ばかりだ。

NYダウは「ダウ工業株30種平均」とも呼ばれ、米国のダウ・ジョーンズ社がNY証券取引所やナスダック上場企業のうち、大型の優良銘柄を30銘柄選出し、ダウ式修正平均によって算出した指数である。

選定にあたっては、以下のような厳しい基準が設けられている。
  • 米国本社で世界を代表する大型株で、誰もが社名を知っていること
  • 継続的に成長していること
  • 株価が一定の範囲以内であること(算出方法が単純平均指数であるため)
  • 公共関連銘柄を工業30種から除外すること
つまりNYダウを構成する30銘柄は、いずれも規模や業績、財務状態などの面で安全性の高い超優良株なので、どの銘柄を選んでも倒産のリスクなどは極めて低いと考えられる。

「実体の伴わない相場は長続きしない」という投資格言がある。ダウの犬投資法は、業績が好調な銘柄に投資するべきという投資の基本に適った戦略なのだ。

理由2,ダウの犬10銘柄は、高配当利回り=割安株である

ダウの犬10銘柄は、配当利回りの上位銘柄であることも大きなポイントだ。配当利回りは、以下の計算式で算出される。

配当利回り(%)=年間配当金額÷株価×100

つまり「高配当利回りである」ということは、1株当たりの年間配当金額に対して株価が相対的に割安であることを意味する。

ダウの犬投資法は、「良い品質のモノをお値打ちに買う」ことだと言ってもいいだろう。

理由3,ダウの犬投資法は、逆張り戦略の一種

この投資手法は、1年ごとにポートフォリオをリバランスするのが前提になっている。その時株価が安い銘柄を買って、配当を確保しながら株価が回復したら売却し、また別の安い銘柄に乗り換えることで利益を確保する手法でもあるからだ。

5,「ダウの犬」投資法の誕生とその意味、過去の実績と銘柄

「ダウの犬(Dogs of the Dow)」は、1991年に米国の資産運用会社を経営するトップマネージャーのマイケル・オヒギンス氏によって提唱された。

「ダウの犬」の意味

名前にある「Dogs」は、米国株式市場では「株価が安いこと、パフォーマンスが悪いこと」または「負け犬」を意味する。株価が安い銘柄を購入する戦略であることから、このように命名された。

「ダウの犬」の過去実績

ダウの犬10銘柄とNYダウ30銘柄それぞれの、直近10年間の年間騰落率を見てみよう。
 
2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
ダウの犬
10銘柄
18.3 20.6 14.9 9.9 35.0 10.8 2.6 20.4 25.1 -3.52
NYダウ
30銘柄
22.7 14.1 8.4 10.2 29.7 10.0 0.2 16.5 28.1 5.3
(単位:%)
※2009年~2017年の年間騰落率の数値は、SBI証券ホームページ「特集レポート」資料(2018年4月18日付)から引用
※2018年の年間騰落率は筆者が株価参照の上算出

直近10年間のうちで、ダウの犬銘柄の平均年間騰落率がNYダウの年間騰落率を上回ったのは10回中、6回だった。この期間は、ダウの犬銘柄のパフォーマンスのほうがNYダウのパフォーマンスをやや上回っていたと言える。

2018年のダウの犬銘柄の大幅下落は、ゼネラル・エレクトリック <GE> の株価下落が止まらず、ダウの犬全体のパフォーマンスを下げたことが主な要因だ。

2019年のダウの犬10銘柄 入れ替わった銘柄は?

2019年版ダウの犬銘柄は、前述のとおり2018年12月31日終値ベースで算出された配当利回りで選定されたものである。

2019年版ダウの犬銘柄一覧                    (単位:米ドル)
会社名 ティッカー 配当利回り 2018/12/31
終値
2019/11/13
終値
年初から
2019/11/13まで
の騰落率
IBM IBM 5.52% 113.67 134.48 18.31%
エクソン・
モービル
XOM 4.81% 68.19 68.8 0.89%
ベライゾン・
コミュニケーションズ
VZ 4.29% 56.22 59.41 5.67%
シェブロン CVX 4.12% 108.79 122.28 12.40%
ファイザー PFE 3.30% 43.65 36.6 -16.15%
コカ・コーラ KO 3.29% 47.35 52.41 10.69%
JPモルガン・
チェース・
アンド・カンパニー
JPM 3.28% 97.62 128.48 31.61%
プロクター&
ギャンブル
PG 3.12% 91.92 120.65 31.26%
シスコ・
システムズ
CISCO 3.05% 43.33 48.46 11.84%
メルク MRK 2.88% 76.41 84.82 11.01%
10銘柄平均   3.77%     11.75%
NYダウ30銘柄     26,149.39 27,783.59 6.25%
※ダウの犬銘柄および配当利回りについては「Dogs of the Dow」公式ホームページを参照

2019年版ダウの犬の顔ぶれは、1銘柄を除いて2018年版から変わっていない。

上記一覧から、2019年11月13日時点では、ダウの犬銘柄のパフォーマンスのほうが、NYダウに比べて良好であることがわかる。

2018年6月26日、長引く業績低迷とNYダウのその他構成銘柄との株価の乖離を理由に、ゼネラル・エレクトリックがNYダウから除外された。これに伴い、2019年版ダウの犬ではゼネラル・エレクトリックが外れ、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー <JPM> が加わった。

6,日本株版ダウの犬投資法「TOPIX Core 30 ハイイールド投資法」 ポートフォリオの内訳は?

ダウの犬投資法を日本株で応用するなら、NYダウに似た株式指数を探す必要がある。日本の株価指数の中で、業績好調な大型株を構成銘柄とするNYダウに最も近いのは、ニューインデックスシリーズの一つである「TOPIX Core 30」だ。

TOPIX Core 30の構成銘柄の基準は、「東証一部上場全銘柄のうち、時価総額と流動性が特に高い30銘柄」と定められている。市場の実勢をより適切に反映させるために、1年に1回10月に構成銘柄の見直しが行われる。

このTOPIX Core 30の構成銘柄を、以下の手順で取引するだけだ。
  • 設定した基準日終値ベースで配当利回りの高い順に並べる
  • 上位10銘柄でポートフォリオを組んで、均等額ずつ購入
  • 1年後に、リバランスされた構成銘柄で再度配当利回りが高い順に並べる
  • 上位10銘柄から除外される銘柄を売却
  • 新しく入った銘柄を購入
  • その後、1年に1回同時期に銘柄の入れ替えをする
参考までに、2019年11月13日のTOPIX Core 30銘柄の配当利回り上位10位を挙げておこう。

TOPIX Core 30ハイイールド投資法 構成銘柄                 (単位:円)
会社名 コード 配当利回り
(予想)
1株当たりの
年間配当金額
2019年11月13日
終値
最低投資金額
日本たばこ産業
(JT)
2914 6.23% 154.00 2,471 247,100
三菱商事 8058 4.61% 132.00 2,866 286,600
三井住友
フィナンシャル
グループ
8316 4.47% 180.00 4,024 402,400
みずほ
フィナンシャル
グループ
8411 4.37% 7.50 171.6 17,160
三菱UFJ
フィナンシャル
グループ
8306 4.26% 25.00 586.9 58,690
三井物産 8031 4.20% 80.00 1,904 190,400
武田薬品工業 4502 4.12% 180.00 4,370 437,000
NTTドコモ 9437 3.99% 120.00 3,005 300,500
本田技研工業 7267 3.49% 112.00 3,209 320,900
※配当利回り(%)は、「今期の1株当たりの年間配当金額÷2019年11月13日終値×100」で算出

7,「ダウの犬」投資法はお手軽で確実な長期投資戦略

ダウの犬投資法で株式投資をすると、比較的安全で、手間をかけないマイペースな投資スタイルをキープできる。高配当利回り銘柄なので、ほぼ確実に配当がもらえるのも魅力だ。

割安な大型株を購入するので、株価が上昇して売却すれば売却益が出る。それを原資に買い増しもできる。

日本株でも応用できるダウの犬投資法は、投資初心者にも多忙な人にも、堅実なリターンをもたらしてくれる戦略と言えるだろう。

文・近藤真理(フリーライター)
 

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