IPO投資とは?始め方や注意点、セカンダリー投資など IPOの基本をわかりやすく解説

2019.9.16
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(写真=MaximP/Shutterstock.com)
(写真=MaximP/Shutterstock.com)
IPOやIPO投資という言葉をニュースなどでたまに目にすることがあるだろう。IPO投資とは、取引所に上場する前の株を入手する投資のこと。人気のIPO株は価格が何倍にもなり、大きな利益が得られることがある。投資初心者でも始めやすいIPO株の買い方、注意点などを紹介する。

目次

1.IPO投資、IPOセカンダリー投資とは
2.IPO投資の2つの魅力
3.IPO投資をするための準備と5つのステップ
4.IPO株の購入権を得る確率を上げるには複数の証券会社を利用
--4-1.IPOの申込を多くできる証券会社
--4-2.IPO株が多く割り当てられる証券会社
--4-3.抽選のライバルが少ない証券会社
--4-4.平等に抽選される証券会社
--4-5.抽選時に買付資金を預けておく必要がない、抽選時に前受金不要の証券会社
--4-6.資産残高や取引実績による優遇制度がある証券会社
--4-7.多くの株数を申し込むと抽選が有利になる証券会社
--4-8.IPOのポイント制度で当選のチャンスがある証券会社
--4-9.IPO株を配分してくれる可能性がある証券会社
5.IPO投資で注意すべき5つのポイント
6.IPO株を上場後すぐに売却せず持ち続ける際に気をつけたいこと
7.IPOセカンダリー投資で気をつけたいこと
8.IPO投資とIPOセカンダリー投資は別物

1.IPO投資、IPOセカンダリー投資とは

IPOとは、新規株式公開(Initial Public Offering)の略である。IPOは、経営者などが出資して運営していた会社をさらに成長させるために行う。株式を取引所に上場し、売買できるようにすることで、投資家から広く資金を募ることができる。

IPO投資とは、IPOで上場する株を上場前に購入する投資方法だ。上場する前のIPO株は公募価格(公開価格)で売り出される。公募価格は、投資家の需要に応じてブックビルディング(BB)という方法で決定される。ブックビルディングとは、IPO株などにあらかじめ仮条件価格を決め、投資家のIPO申込状況をもとに需要を予測することだ。

IPO株を買うには、抽選に当選するか証券会社から配分してもらう必要がある。購入したIPO株は上場後初値(市場で初めて付いた株価)で売ってもいいし、将来性を見込むなら保有していてもいい。

なお、IPO株は上場後であれば誰でも買うことができる。上場後にIPO株に投資することをIPOセカンダリー投資という。後半ではIPOセカンダリー投資についても紹介する。

2.IPO投資の2つのメリット

人気の投資方法であるIPO投資のメリットを2つ紹介しよう。

2-1.IPO投資のメリット1……短期で大きな利益を得られる可能性がある

IPO投資は、短期で大きな利益を得られる可能性があり、初値が公募価格の数倍になることも珍しくない。上場する企業の将来性が高いほど初値が上昇しやすい。

2018年のIPO90銘柄のうち、初値が公募価格を上回ったのは80銘柄(89%)。そのうちの11銘柄は初値が公募価格の3倍以上だった。IPO銘柄は人気があるためなかなか当選しないが、当選すれば大きな利益を期待できる。

2018年のIPOで初値の上昇が最も目立ったのはHEROZ<4382>で、公募価格4,500円に対し初値は約10.9倍の4万9,000円だった。初値で売った場合、100株で445万円の利益(手数料を除く)を得られたことになる。

次いで上昇が目立ったのはアジャイルメディア・ネットワーク<6573>で、公募価格3,000円に対し初値は1万5,470円をつけ、初値で売った場合の利益は100株で124万円以上(手数料を除く)だった。

2-2.IPO投資のメリット2……損失リスクが比較的小さい

IPO投資は、損失を出すリスクが比較的小さい。初値が公募価格を下回るケースは少なく、下回っても下落率は比較的低い。

2018年のIPOでは、90銘柄のうち9銘柄の初値が公募価格を下回った。下落率が37%と17%の銘柄があったものの、その他は3~8%程度だった。

2018年のIPOで初値の下落が最も目立ったのはポート<7047>で、公募価格1,480円に対し初値は930円(約37%の下落)。初値で売った場合、100株で5万5,000円の損失(手数料を除く)を出したことになる。

次いで下落が目立った自律制御システム研究所<6232>は、公募価格3,400円に対し初値は2,830円(約17%の下落)。初値で売った場合の損失は、100株で5万7,000円(手数料を除く)だった。

3.IPO投資をするための準備と5つのステップ

IPO投資の魅力を理解したら、実際にIPO投資する手順を確認したい。オンライントレードでIPOへ申し込む場合の前準備と、手順を5つのステップとして紹介しよう。
 
※編集部にて作成

3-1.IPO投資の前準備……証券総合口座を開設し入金する

IPO投資をするには、証券会社に「証券総合口座」を持つ必要がある。証券総合口座がなければ開設しよう。近年は年間100社弱が上場しているが、1つの証券会社ですべてのIPO銘柄に申し込めるわけではない。IPOに申し込むには、その銘柄を取り扱っている証券会社から申し込む必要がある。したがって、IPOに強い証券会社で口座開設するのがいいだろう。

口座を開設したら、必要に応じて入金する。IPO抽選に申し込むために、IPO株の買付資金が必要になる証券会社が多い。証券会社によって資金を用意するタイミングが異なるため、あらかじめ把握しておこう。限られた資金を活用するため、IPO抽選に合わせて複数の証券口座間で資金を移動させることもある。

3-2.IPO投資のステップ1……IPOのスケジュールや企業情報などを確認する

証券総合口座が用意できたら、IPOのスケジュールや企業の業務内容・業績などの情報を確認する。

IPOの申込期間は、各銘柄のブックビルディング期間である。目当てのIPO銘柄があれば、それを逃さないようにしたい。

また、各IPOの情報や企業の業務内容や業績などから将来性を把握しておきたい。将来性のある企業は初値が高騰しやすいからだ。

3-3.IPO投資のステップ2……IPOのブックビルディングに申し込む

ブックビルディング期間は1週間弱であり、その期間に購入を希望する金額と株数を指定して申し込む。

購入希望金額は、仮条件の範囲内で指定する。申し込んだ金額が、ブックビルディングによって決定される公募価格以上であれば抽選対象になる。安く買いたいからといって低い金額で申し込むと、公募価格を下回って抽選の対象から外れてしまうこともあるので注意したい。

人気のIPO銘柄は、仮条件の上限価格が公募価格となるケースがほとんどだ。よって、人気のIPO銘柄は仮条件の上限価格で申し込むべきである。

証券会社によっては申込の流れが異なり、抽選までにブックビルディング申込と購入申込の両方が必要になるところがある。利用している証券会社でのIPOの流れを確認しておこう。

3-4.IPO投資のステップ3……抽選結果を確認する

ブックビルディング期間後に抽選が行われるので、結果を確認する。

当選すれば、IPO株を購入する権利を得たことになる。証券会社によっては、当選の他に「補欠当選」がある。補欠当選の場合、IPO株を購入できるとは限らないが購入を申し込むことはできる。

3-5.IPO投資のステップ4……当選したら購入申し込みか購入辞退をする

当選したら、購入の申し込みを行うことでIPO株を購入できる。購入の申込期間も1週間弱なので、人気のIPOに当選したら、早めに購入の申し込みをしたい。

多くの証券会社では、当選しても購入を辞退することができる。不人気銘柄で、初値が公募価格を下回ると予想するなら購入を辞退するといいだろう。

補欠当選の場合も、購入申込はできる。初値が公募価格を上回る可能性が高い銘柄で、資金に余裕があるなら、繰り上げ当選を狙って購入申込をするべきだろう。

当選した銘柄の初値予想を調べるには、IPO情報をまとめているWebサイトを利用しよう。初心者にも企業分析をわかりやすく説明しているサイトや、初値予想を掲載しているサイトなどが参考になるだろう。

3-6.IPO投資のステップ5……上場して初値がついたら売るか、保有し続けてもいい

IPO投資では、IPO銘柄は初値で売られることが多い。初値がついても売らずに、売るタイミングを見計らってもいいが、初値がついた直後は値動きが非常に激しくなることがあり、急落することもあるため気をつけたい。

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4.IPO株の購入権を得る確率を上げるには複数の証券会社を利用

人気のIPO銘柄の購入権を得ることは簡単ではない。購入権を得るには、IPOの抽選で当選するか、証券会社から配分してもらうしかない。

IPOの当選確率を上げる基本は、複数の証券会社から申し込むことだ。抽選は証券会社ごとに行われるため、複数の証券会社に口座を持っていれば複数申し込みができ、当選確率を上げることにつながる。

どの証券会社を利用するかは、好みやIPO投資に利用できる資金量による。各証券会社のIPO抽選の特徴を把握して、自分に適した証券会社を利用したい。様々な特徴を持つ証券会社を紹介していこう。

4-1.IPOの申込を多くできるのはIPOの取り扱いが多い証券会社

IPOの申込は、その銘柄を取り扱う証券会社でしかできない。2018年のIPOは90社だったが、それらの取扱実績を確認してみよう。2018年のIPO取扱数の上位4社を以下に示す。
  • SBI証券……86社
  • SMBC日興証券……66社
  • マネックス証券……50社
  • 岡三オンライン証券……48社
特にSBI証券は90社中86社とほとんどのIPOの取り扱いがあったため、多くの銘柄に申込ができた。SMBC日興証券、マネックス証券、岡三オンライン証券も取扱数が多く、IPO投資で注目すべき証券会社と言えるだろう。

4-2.IPO株が多く割り当てられるのは主幹事の証券会社

IPO株の割り当て数は証券会社によって異なり、当然割り当てが多い証券会社のほうが抽選では有利になる。特にIPOのサポートを中心となって行う「主幹事」の証券会社は、IPO株の割り当て数が多い。よって、主幹事の証券会社から申し込むことで当選確率を上げることができる。

2018年のIPO主幹事実績が、20社を超えているのは以下の3社だ。これらの証券会社に口座があれば、主幹事の証券会社からIPOの申込をしやすくなる。
  • 野村證券
  • SMBC日興証券
  • みずほ証券
10社以上の主幹事実績があった以下の2社にも注目したい。
  • 大和証券
  • SBI証券

4-3.抽選のライバルが少ないのは口座開設数が少ない証券会社

口座開設数が多い証券会社はIPOへの申し込みも多く、ライバルが多い分当選確率は下がる。逆に口座開設数が少なければライバルも少ないため、当選確率は上がる。

主なネット証券のうち口座開設数が少ない証券会社は、以下2社だ。(※2019年3月時点)
  • 岡三オンライン証券……21.3万口座
  • GMOクリック証券……38.5万口座
ただし、GMOクリック証券は2018年IPO取扱実績が1社のみで、今後もIPO申込のチャンスは少ないかもしれないことを理解しておきたい。

4-4.資金が限られていても平等に抽選される証券会社

IPOの抽選方法は証券会社によって異なるが、IPO投資に利用できる資金が限られているならば、資金量に関係なく平等に抽選が行われる証券会社を利用したい。平等抽選の主な証券会社は以下のとおりだ。
  • マネックス証券
  • カブドットコム証券
  • ライブスター証券
  • GMOクリック証券
ただし、前述のGMOクリック証券に加え、ライブスター証券もIPO取り扱い実績が少ないため、IPO申込のチャンスは少ないかも知れない。

4-5.抽選時に買付資金を預けておく必要がない、抽選時に前受金不要の証券会社

抽選時に前受金不要の証券会社であれば、抽選に当選してから入金すればいいので、限られた資金を効率良く利用できる。主な証券会社は以下のとおりだ。
  • 野村證券(オンライン抽選の場合)
  • 岡三オンライン証券
  • ライブスター証券

4-6.資産残高や取引実績による優遇制度がある証券会社

資産残高や証券取引の多い顧客がIPO抽選で優遇される証券会社がある。それは以下2社だ。
  • SMBC日興証券
  • 岡三オンライン証券
SMBC日興証券の抽選は、2段階で実施される。始めに通常の抽選が、次に当選しなかったIPO優遇特典の対象者向けに2度目の抽選が行われる。IPO優遇特典は、預かり資産残高または信用取引建玉金額によってブロンズからプラチナまでの4ステージに分けられる。ブロンズは抽選票数が1票、プラチナは25票だ。

岡三オンライン証券は、過去の取引手数料合計額などが少ない順にステージB、ステージA、ステージSの3つに区分される。抽選は3段階で実施され、第1抽選はステージSのみ、第2抽選はステージSとA、第3抽選は全ステージが対象となる。取引実績などに応じて抽選が有利になるシステムだ。

なお、SMBC日興証券の最初の抽選と岡三オンライン証券の第抽選はIPOの申込をしたすべての顧客を対象に、抽選自体は平等に行われる。つまり、資産や取引が少ない投資家であっても当選確率は同じなのだ。

資産や取引が少ない投資家にとって、SMBC日興証券と岡三オンライン証券はIPO投資で注目すべき証券会社だと言えるだろう。

4-7.多くの株数を申し込むと抽選が有利になる証券会社

申込株数に応じて、抽選が有利になる証券会社がある。まとまった資金を用意し、多くの株数を申し込めるならば、それらの証券会社から申し込むことで当選確率を上げることができる。具体的には以下2社だ。
  • SBI証券
  • 楽天証券
SBI証券と楽天証券は、申込株数に応じて抽選番号が付与され、申込株数が多くなるにつれて当選確率が上がる。IPO投資に回せる資金が多い投資家が注目したい証券会社だ。

4-8.IPOのポイント制度で当選のチャンスがある証券会社

SBI証券には、IPO抽選のポイント制度がある。IPOチャレンジポイントという制度で、IPO抽選に外れるとポイントが貯まり、貯まったポイントを利用することで当選の機会を与えられる。

SBI証券では、通常の抽選で個人投資家に配分される株の70%が決まり、残りの30%はIPOチャレンジポイント数の順に配分先が決まる。

SBI証券は多くの資金を用意できる人だけでなく、資金が限られている人でもIPOチャレンジポイントを利用することで、当選のチャンスが十分ある証券会社だ。

4-9.IPO株を配分してくれる可能性があるのは対面系証券会社

対面系証券会社で「お得意様」になれば、IPO株を配分してくれる可能性がある。証券会社は優良顧客にIPO株を割り当てることがあるため、それを利用できればIPO株を購入できる。

対面系証券会社のうち主幹事実績が多く、IPO株が多く割り当てられるのは以下の証券会社だ。
  • 野村證券
  • 大和証券
  • SMBC日興証券
  • みずほ証券
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
住まいの近くに店舗があり、IPOに力を入れている証券会社を利用するのがいいだろう。

5.IPO投資で注意すべき5つのポイント

損失を出すリスクが比較的小さいIPO投資だが、注意点はきちんとおさえておきたい。

5-1.IPOの申込は取り扱いのある証券会社からしかできない

IPOは、銘柄によって割り当てられる証券会社が決まっている。目当てのIPO銘柄があれば、その銘柄を取り扱っている証券会社からIPOの申込を行う必要がある。申し込む予定のIPO銘柄については、取り扱いのある証券会社を確認しておきたい。

5-2.IPOの申込や当選で買付資金が拘束される

証券会社によっては、IPO申込や当選で買付資金が拘束される。資金が拘束されるタイミングは証券会社によって異なる。買付余力に余裕がない状態で資金が拘束されると、通常の株取引に支障をきたすこともある。

例えば、SMBC日興証券ではIPOに申し込んだ時点で資金が拘束され、抽選に外れるまでその状態が続く。SBI証券では、抽選で当選または補欠当選すると資金が拘束される。

自分が利用している証券会社のIPO申込や抽選の当選などで資金が拘束される場合は、そのタイミングや期間を把握しておきたい。

5-3.IPO株の購入権を得ても購入を見送ったほうがいい場合もある

IPO株は、初値が公募価格を上回ることもあれば下回ることもある。初値が公募価格を下回ることを公募割れという。公募割れリスクが高い株は、事前に調べることで購入を見送りたい。

抽選に当選するなどしてIPO株の購入権を得たら、購入申込の前に公募割れリスクを確認しておこう。特に以下の要素がある銘柄には気をつけたい。
  • 新規公開株数が多い
  • 公募価格が仮条件の上限で決まらない
新規公開株数が多いと初値での売り注文が多くなるため、初値の下げ圧力となる。2018年のIPO銘柄では、新規公開株数が非常に多かったソフトバンク<9434>が公募価格1,500円に対して初値1,463円と2%下回った。

公募価格は、ブックビルディングにより仮条件の範囲内で決定される。人気がある銘柄は仮条件の上限金額での申込が多くなるため、公募価格は仮条件の上限で決まることが多い。公募価格が仮条件の上限で決まらない銘柄は人気があるとは言えず、初値での買い注文が少なくなるため初値が上がりにくい。

なお、公募価格が仮条件の上限で決まった銘柄であっても公募割れすることもある。仮条件と公募価格の関係は、参考程度に覚えておいていただきたい。

5-4.IPOの当選後に購入辞退できない証券会社がある

多くの証券会社では、IPO抽選の当選後に購入または購入辞退を申し込むことができる。しかしブックビルディング申込後に購入申込を行い、その後に抽選が行われる証券会社もある。つまり、抽選で当選したら、そのまま購入する仕組みになっているのだ。具体的には以下2社などがある。
  • カブドットコム証券
  • GMOクリック証券
当選後に購入辞退できる証券会社であれば、公募割れリスクの検討は当選後でも間に合う。しかし、当選後に購入辞退できない証券会社では、公募割れリスクの検討は購入申込の前に行っておこう。

5-5.IPO当選後の購入辞退で利用制限がかけられる証券会社もある

IPOの当選後に購入辞退をすると、利用制限(ペナルティ)がかけられる証券会社がある。具体的には以下の2社が挙げられる。
  • SMBC日興証券
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
SMBC日興証券では、オンライントレードで申込んだIPOが当選したら、購入申込または購入辞退を行わないと翌日から1ヵ月間オンライントレードによるIPOの申込ができなくなる。さらに、購入辞退した時点までのブックビルディング申込も無効になる。三菱UFJモルガン・スタンレー証券にも同様の利用制限がある。

これらの証券会社では、ブックビルディング申込前に公募割れリスクを検討しておき、なるべく購入辞退をしないようにすべきだろう。

6.IPO株を上場後すぐに売却せず持ち続ける際に気をつけたいこと

IPO投資では、IPO株を初値で売らずに持ち続けるという選択肢もある。その場合の注意点も紹介しておきたい。

初値がついた直後のIPO株は値動きが激しくなる傾向があり、初値から大きく上昇したり下落したりする。大きく下落した場合は、当然大きな損失が出てしまう。初値で売らずに保有する場合は、そのリスクを把握しておこう。

上場後のIPO株の急落には、「ロックアップ」と「ストックオプション(SO)」が大きく関係することがある。その2つと確認方法、また初値が高騰した銘柄について紹介しよう。

6-1.ベンチャーキャピタル(VC)などの大株主の大量売却とロックアップ

IPOで上場する前の企業の株式は、創業者やベンチャーキャピタルなどが大量に保有している。特にベンチャーキャピタルは、上場後に保有株を売却して利益を得ることが仕事であり、上場後に大量に売却することで株価が急落することがある。

これを避けるために、IPOには「ロックアップ」という制度がある。ロックアップとは、公開前の大株主が一定期間(90日や180日など)市場で持株を売却することを禁止する制度だ。

ただし、一定期間内であっても株価が一定の金額(公募価格の1.5倍や2倍など)以上になるとロックアップが解除されることがある。ロックアップの解除により、大株主が持株を大量に売却することで株価が急落する可能性がある。

また、中にはロックアップの対象となっていない大株主がいることもある。そのような大株主やロックアップの対象となっていてもロックアップの解除で短期に大量の株を売却する可能性のある大株主(特にベンチャーキャピタル)がいるかどうかを確認しておこう。

6-2.ストックオプション(SO)は行使期間に注意

ストックオプションは新株予約権とも呼ばれ、株式会社の取締役や従業員に対し、会社の株式をあらかじめ定めた価額で将来取得できる権利を与える制度である。会社の株価がその価額を上回ったところで権利を行使すると、市場の株価との差額を利益として得ることができる。

ストックオプションが多く行使されると大量の売り注文が発生し、株価が急落することがある。よって、IPO株を上場後も保有するならば、ストックオプションの状況も確認しておこう。

ストックオプションには、行使期間が定められている。IPO株の保有時期と行使期間が重なっている場合や、ストックオプションの株数が多い場合は注意が必要だ。

6-3.ロックアップとストックオプションの内容は目論見書を確認

ロックアップとストックオプションの内容は、目論見書に記載されている。初値が付いた後のIPO株を保有する場合は、目論見書を確認しておこう。

ロックアップで確認すべき項目は以下のとおりだ。
  • 対象になる大株主
  • 所有株式数
  • ロックアップ期間
  • ロックアップ解除条件
2019年6月21日に上場したブランディングテクノロジー<7067>の大株主の中から、ベンチャーキャピタルを抜き出してみよう。

ブランディングテクノロジー<7067> 大株主として記載されたベンチャーキャピタル

(1)ジャフコ・スーパーV3共有投資事業有限責任組合
株数25万600、ロックアップ期間90日、ロックアップ解除条件1.5倍以上

(2)100キャピタル1号投資事業有限責任組合
株数6万4,200、ロックアップなし

(3)Net Capital Partners Limited
株数4万200、ロックアップなし

(4)X Capital有限責任事業組合
株数3万800、ロックアップ期間90日、ロックアップ解除条件1.5倍以上

(1)と(4)はロックアップ期間が設定されているが、(2)と(3)はロックアップが設定されていない。このため、(2)と(3)は上場直後に保有株を売却する可能性がある。なお、ブランディングテクノロジーの公募価格1,740円に対し初値は約2.8倍の4,825円がつき、ロックアップ解除条件の1.5倍以上になったため、(1)と(4)についても上場直後に保有株が売却される可能性があった。

ストックオプションで確認したい項目は、以下の3つだ。
  • 行使期間
  • 対象株数
  • 行使価格
2019年7月18日に上場したLink-U<4446>のストックオプションを例として確認してみよう。

Link-U<4446> ストックオプション内容
(a)行使期間(自)2018-07-31~(至)2026-07-29、対象株数18万6,800、行使価格75円
(b)行使期間(自)2019-07-29~(至)2027-07-28、対象株数2万9,300、行使価格424円

上場日の2019年7月18日を行使期間に含むのは(a)で、対象は18万6,800株。2019年7月29日からは(b)の行使期間が始まり、2万9,300株が行使可能なストックオプションとして追加されることになる。これらが短期間で権利行使されると、株価の下落圧力となる。

6-4.初値が高騰した銘柄は株価下落の可能性もある

初値が高騰(公募価格の3倍以上など)した銘柄を保有し続ける場合は株価急落に気をつけたい。初値が高騰すると、利益を確定したい投資家が多くなって売り注文が殺到し、株価が急落することがある。

ロックアップのところで紹介したブランディングテクノロジー<7067>を例に紹介しよう。ブランディングテクノロジーは公募価格1,740円に対し、初値4,825円(公募価格の約2.8倍)をつけた。

2019年6月24日……初値4,825円、終値4,160円
2019年6月25日……始値3,950円、終値3,485円

このデータから、上場の翌日に初値から1,340円(約28%)下落したことが分かる。

なお、初値が高騰し、その後もさらに株価が上昇する銘柄もあるが、それを見極めるのは簡単ではない。

7.IPOセカンダリー投資で気をつけたいこと

これまではIPO投資として、IPO株を公募価格で入手する投資方法を紹介してきた。ここからは、IPOセカンダリー投資と注意点について解説しよう。

7-1.IPOセカンダリー投資は誰でもできる

IPOセカンダリー投資とは、IPO株をセカンダリーマーケットで売買することである。セカンダリーマーケットとは投資家間で売買する市場であり、上場後にIPO株を証券取引所で売買する投資方法をIPOセカンダリー投資と呼ぶ。

IPOセカンダリー投資は、上場後に通常の株取引と同じようにIPO株を売買するため、証券口座と買付資金を持っていれば誰でも購入できる。IPO投資と異なり、抽選の当選などで購入権を得る必要はない。

7-2.IPOセカンダリー投資の難易度は高い

初値がついた後のIPO株の株価が上昇するか下落するかは、時と場合による。IPOセカンダリー投資は、公募価格でIPO株を取得するIPO投資と比べると難易度は高いと言えるだろう。

特に上場直後は値動きが激しく、大きな利益を得ることもあるが、大きな損失を出すこともある。つまり、ハイリスク・ハイリターンなのだ。

慣れないうちは、IPOセカンダリー投資に資金の多くを投入することは避け、資金の一部のみを使うべきだろう。

7-3.IPOセカンダリー投資でもロックアップやストックオプション、初値が高騰した銘柄に注意

IPOセカンダリー投資でも、一時的にせよIPO株を保有することになる。したがって、IPOセカンダリー投資でもロックアップやストックオプション、初値が高騰した銘柄には注意すべきだ。

ロックアップ解除による大株主の売り注文や、ストックオプションの行使などが株価急落につながることがある。

8.IPO投資とIPOセカンダリー投資は別物

IPO投資は、利益を得る可能性が高い魅力的な投資方法だ。注意点を押さえておけば、IPO投資で損失を被るリスクは軽減される。特に人気のIPO銘柄であればリスクが小さいため、IPO投資が気になったら気軽に始めてみるのがいいだろう。

IPO投資の方法は、公募割れリスクを考慮し、購入する権利を得たら購入申込か購入辞退をして、購入した場合は初値で売ると決めておけば、難しいことはない。

IPOセカンダリー投資は、ハイリスク・ハイリターンの投資方法だ。過去に上場した銘柄の上場後の株価チャートを確認するなどして、リスクを十分に把握してから行ったほうがいいだろう。IPOセカンダリー投資の方法はたくさんある。自分なりの投資方法を見つけ、それが良い結果になることを願う。

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文・松本雄一(ビジネス・金融アドバイザー)
 

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