住宅ローンを相談するにはどんな窓口があるのだろうか。すぐに思いつくのは銀行だが、中には専門的な相談窓口を設けているところもある。銀行以外にも相談窓口はあり、知りたい内容に合わせて利用するといいだろう。

目次
1.住宅ローン相談窓口は主に3種類
2.それぞれの相談窓口に適した相談内容
3.住宅ローンの相談をするときに必要なもの
4.住宅ローンの相談窓口に行く前に
5.住宅ローンの借入を検討する

1.住宅ローン相談窓口は主に3種類

住宅ローンの相談窓口は銀行の中でも分かれていることがあり、金融機関以外でも相談できるところがある。どんな相談窓口があるのか見ていこう。

住宅ローンの相談窓口1――銀行の住宅ローンプラザ

ほとんどの銀行には住宅ローンの相談窓口があり、営業時間内であれば利用できる。「住宅ローンプラザ」といった住宅ローン専門の相談窓口を設けている銀行も多いため、気になる銀行がある場合はホームページで確認してみよう。

・銀行の住宅ローンプラザで相談する3つのメリット

⑴細かい手続きまで相談できる
⑵無料で何度でも相談できる
⑶住宅ローン専任の担当者が対応してくれる

住宅ローンプラザ(銀行)では、その銀行に口座を持っていなくても住宅ローンの相談ができる。相談は無料ででき、ちょっとした質問から具体的な住宅ローンの手続き方法まで、幅広く対応してもらえるはずだ。

住宅ローンプラザは専門部署なので、住宅ローン専任の担当者が対応してくれることもメリットだ。住宅ローンの借入はライフプランに大きく関わるものなので、細かいことまで不明点がないように質問しよう。何度も質問するのは気が引けるかもしれないが、銀行側は住宅ローンを借りてほしいと思っているので、丁寧に対応してくれるだろう。

・銀行の住宅ローンプラザに相談するデメリット

⑴自社の住宅ローンについてしか説明を受けられない
⑵他社の住宅ローンとの比較は自分次第
⑶家計管理の視点が欠けた相談になる可能性がある

住宅ローンプラザに相談するデメリットの一つは、他社の住宅ローンの説明を受けられないことだ。一般的な住宅ローンのことは説明してくれるが、具体的な説明は自社の住宅ローンのみになる。他社の住宅ローンと比較したい場合は、自分で資料を集めたり別の銀行に相談に行ったりする必要があるため、手間がかかる。

また、住宅ローンプラザでの相談は具体的な商品の話になりがちで、家計管理の視点が欠けたまま話が進むケースも少なくない。銀行は、契約者の住宅ローン返済額に多少の無理があっても貸してくれるケースもあるため、返済額が適正かどうかを自分で判断しなければならないこともある。住宅ローンは返済期間が長いため、家計についてもしっかり考えながら相談しよう。

住宅ローンの相談窓口2――住宅金融支援機構の住宅ローン相談会やセミナー

民間の金融機関以外に、公的な組織である住宅金融支援機構の相談会やセミナーを利用する方法もある。住宅金融支援機構は、民間金融機関と連携して長期固定金利の住宅ローンである「フラット35」を提供する独立行政法人だ。

・住宅金融支援機構の相談会の2つのメリット

⑴フラット35に限らず住宅ローンについて相談できる
⑵住宅関連の補助金などの相談ができる

住宅金融支援機構は、定期的に全国で相談会やセミナーを開催している。内容はフラット35が中心だが、参加者のニーズに合わせて資金計画の考え方や住宅ローンの基本について相談できるように運営されていることもある。住宅関連の補助金などについて行政職員が直接相談を受け付けていることもあり、銀行とは違った視点で相談できるのがメリットだ。

・住宅金融支援機構の相談会の2つのデメリット

⑴地域や時期により開催状況が異なる
⑵参加者数が限られている

住宅金融支援機構の相談会やセミナーは、いつでも開催されているわけではない。地域や時期によって開催状況が異なるため、ホームページで確認する必要がある。LINEの公式アカウントもあるので、関心がある人は登録しておこう。開催されていても、一度に1組しか相談できない場合もあるので、開催が決まったら早めに申し込んでおきたい。

住宅ローン相談窓口3――家計の専門家のFPに相談

専門家に住宅ローンの相談をしたい場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのもいいだろう。FPは金融機関や住宅メーカーに所属する企業系FPと、組織に属さない独立系FPに分かれるが、第三者の視点でアドバイスがほしいなら独立系FPのほうがいいだろう。

・独立系FPに相談するメリット

⑴家計状況やライフプランから住宅ローンの相談ができる
⑵長期的な視点でアドバイスを受けられる
⑶住宅ローン以外にも家計全般について相談できる

FPに相談する大きなメリットは、相談者の家計状況やライフプランを前提にどんな住宅ローンが合うのかを考えてくれることだ。銀行での相談では個別の住宅ローン商品の話になりがちだが、FPの相談では長い目で見て無理のない返済にならないかなど、将来を見越した上でアドバイスを受けられる。キャッシュフロー表を作成するFPもおり、長期的な視点で相談できるのが特徴だ。

住宅ローン以外にもFPは家計全般のアドバイスも得意としており、様々な相談に対応できる。たとえば、教育資金の準備や保険の見直し、資産運用の相談などだ。住宅ローンは家計に与える影響が大きいため、多角的なアドバイスを受けることで借入後の家計を無理なくやりくりできるだろう。

・独立系FPに相談するデメリット

⑴相談料がかかる
⑵住宅ローンを直接取り扱っていない
⑶審査や契約などの申し込みはできない

FPに相談するデメリットは、相談料がかかることだ。1時間あたり5,000円から1万円程度の相談料を設定しているFPが多い。無料で相談に乗ってくれるFPもいるが、その場合は工務店やハウスメーカーの代理店をしていたり、保険などの金融商品を販売していたりするケースがほとんどだ。相談する前に、
料金をしっかり確認しておこう。

また、FPは住宅ローン相談を受けているが、住宅ローン商品を取り扱っているわけではない。FPを通して審査や契約を申し込むことはできないので、具体的な手続きは住宅ローンを取り扱う銀行で確認しなければならない。FPは、あくまでも第三者としてアドバイスする立場であることを覚えておこう。

2.それぞれの住宅ローン相談窓口に適した相談内容

住宅ローンの相談窓口には、相談内容によって向き不向きがある。どのような相談内容が向いているのか、以下の表で確認してほしい。
 

銀行や住宅金融支援機構 独立系FP
・取扱住宅ローンの種類
・借入可能額
・借入可能期間
・諸費用の金額
・借入金利
・具体的な手続き方法
・返済シミュレーション
・団体信用生命保険の内容
・家庭に合う住宅ローンの選び方
・返済額と家計のバランス
・無理のない借入額
・借入後の家計シミュレーション
・ライフプランを考慮した返済計画
・借入に伴う家計の見直し
・繰上返済を見据えた資金計画
・住宅関連制度の活用法

具体的な相談内容は、以下のとおりだ。

<銀行や住宅金融支援機構で相談できる主な内容>
・取り扱っている住宅ローンはどんな種類か
・何歳まで借りられるのか
・固定金利と変動金利はどう違うのか
・借入金利はいくらか
・いくらまで借りられるか
・諸費用には何がいくらかかるのか
・融資実行までの具体的なスケジュール
・審査や契約に必要な書類は何か
・夫婦で借りられるか
・団体信用生命保険の詳しい給付条件は何か

<独立系FPに相談できる主な内容>
・家計に負担のかからない借入金額はいくらまでか
・自分に合っている金利タイプは何か
・総返済額を比較して有利な住宅ローンはどこか
・長期的な返済計画をどのように立てるか
・団体信用生命保険を比較してどんな違いがあるか
・繰上返済のタイミングはいつがいいのか
・住宅ローンの借入で家計をどのように見直せるか
・教育費のかさむ時期と住宅ローン返済のバランスをどう取るか
・住宅ローンを返済しつつ自分たちの老後資金をどう準備するか

銀行や住宅金融支援機構では具体的な住宅ローン商品の内容に関する相談が中心になるが、独立系FPでは住宅ローンの選び方や、借入後の家計に関する相談もできる。

銀行をある程度絞っている場合は、それぞれで個別の条件を聞いて比較し、これから選ぶ場合や家計管理まで気になる場合は、独立系FPに相談するといった使い分けをするといいだろう。

3.住宅ローンの相談をするときに必要なもの

住宅ローンの相談をする際は、具体的な資料などがあると相談がスムーズに進みやすい。金融機関とFPでは必要になるものが異なることもあるため、相談前に確認しておくほうがいいだろう。ここでは、主に必要になるものを挙げてみたい。

銀行や住宅金融支援機構の相談で必要なもの

銀行や住宅金融支援機構で住宅ローンの相談をする場合、できれば購入したい物件を決めてから相談に行くほうがスムーズだ。物件が決まっていなくても住宅ローンの種類や概要について聞くことはできるが、具体的な物件資料があれば仮審査を申し込むことができ、借入ができる金額も確認できる。その場合は、一般的に以下の資料が必要になる。

  • 年収のわかるもの(源泉徴収票、確定申告書、決算書など)
  • 本人確認書類(免許証や健康保険証など)
  • 物件概要のわかるもの(チラシやパンフレットなど)
  • 他に借入があれば内容のわかるもの(償還予定表、残高証明書)

    銀行によっては上記以外の資料が求められることもあるため、相談の予約をする時に確認しよう。

FPの相談で必要なもの

FPの相談では、どんなことを相談するのかによって必要なものが変わる。住宅ローンの比較であれば銀行などで入手した資料が必要で、無理のない借入金額を相談するのであれば年収のわかるものや毎月の支出のわかるものが必要になるだろう。相談が有料の場合は効率的に相談できるように、以下のものを準備して知りたいことを整理しておこう。

  • 年収のわかるもの(源泉徴収票、確定申告書など)
  • 1ヵ月程度の支出内容がわかるもの(メモ書き、通帳、クレジットカード明細など)
  • 貯蓄額やその内訳のわかるもの(メモ書き、通帳など)
  • 銀行でもらった住宅ローンの資料や提案書
  • 生命保険証券

    FPへの相談では、住宅購入のタイミングや内容によって必要なものが変わることが多いので、あらかじめ現状を伝えておくことも大切だ。

住宅ローン各社の比較表

金融機関 住信SBIネット銀行 三菱UFJ銀行 ARUHI auじぶん銀行 ジャパンネット銀行
金利タイプ 変動 固定期間選択 全期間固定 変動 固定期間選択 全期間固定 変動 固定期間選択 全期間固定 変動 固定期間選択 全期間固定 変動 固定期間選択 全期間固定
商品名 ネット専用住宅ローン
通期引下げプラン
ネット専用住宅ローン
当期引下げプラン 固定20年
フラット35
【保証型・買取型】
ネット専用住宅ローン
変動金利選択プラン
ネット専用住宅ローン
固定10年プレミアム住宅ローン
- ARUHI 変動S
(変動金利型)
ARUHI 変動S
(当初固定金利型)10年
ARUHI フラット35S 住宅ローン
全期間引下げプラン(変動)
住宅ローン
当初期間引下げプラン(固定10年)
- 住宅ローン 変動金利
(全期間引下型)
住宅ローン 10年固定
(当初期間引下型)
-
金利 0.32% 1.25%
(固定20年)
【保証型】0.83%
【買取型】0.94%
0.475% 0.84% - 0.70%~1.00% 1.00%~1.30%
(10年固定)
機構団信加入0.99%
団信不加入0.79%
(借入期間:21~35年)
0.410% 0.550%
(固定10年)
- 0.399% 0.620%
(10年固定)
-
保証料 不要 不要 不要 不要 不要 - 金利に上乗せ 金利に上乗せ 不要 不要 不要 - 不要 不要 -
事務手数料
(消費税込)
借入金額×2.20% 借入金額×2.20% 【保証型】借入金額×2.20%
【買取型】借入金額×1.10%
借入金額×2.20% 借入金額×2.20% - 借入金額×2.20% 借入金額×2.20% 返済額に含む 借入金額×2.20% 借入金額×2.20% - 借入金額×2.20% 借入金額×2.20% -
団体信用生命保険料 無料
(全疾病保障団信)
無料
(全疾病保障団信)
【保証型】
無料(全疾病保障団信)
【買取型】
団信加入時の借入金利(新機構団信)
団信加入時の借入金利+0.18%
(新機構団信 デュエット 夫婦連生団信)
団信加入時の借入金利+0.24%
(新3大疾病付機構団信)
無料 無料 - 無料(一般団信)
約240円/月(がん50%保障プラン)
約710円/月(がん100%保障プラン)
約1,180円/月(生活習慣病団信)
団信加入時の借入金利 (機構団信)
団信加入時の借入金利+0.18%
(機構団信 デュエット 夫婦連生団信)
団信加入時の借入金利+0.24%
(3大疾病付機構団信)
団信加入時の借入金利 (機構団信)
団信加入時の借入金利+0.18%
(機構団信 デュエット 夫婦連生団信)
団信加入時の借入金利+0.24%
(3大疾病付機構団信)
無料(一般団信、がん50%保障団信)
年利0.2%(がん100%保障団信)
年利0.3%(ワイド団信、11疾病保障団信)
無料(一般団信、がん50%保障団信)
年利0.2%(がん100%保障団信)
年利0.3%(ワイド団信、11疾病保障団信)
- 無料(一般団信)
年利0.1%(がん50%保障団信)
年利0.2%(がん100%保障団信)
年利0.3%(11疾病保障団信、ワイド団信)
無料(一般団信)
年利0.1%(がん50%保障団信)
年利0.2%(がん100%保障団信)
年利0.3%(11疾病保障団信、ワイド団信)
-
一部繰上返済手数料
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4.住宅ローンの相談窓口に行く前に友人や知人に経験談を聞くのもあり

住宅ローンの相談窓口は聞きたい内容に合わせて積極的に活用してほしいが、実際の経験談を友人や知人から聞くのも手だ。住宅ローンを組む機会は人生でも少なく、経験してみて初めてわかることもある。

住宅ローンを組んだことのある人なら、気をつけるべき点や銀行ごとの対応姿勢など初めての人では知らないこともいろいろ聞けるかもしれない。

最終的には自分の目と耳で確認することが大切だが、経験談を事前に聞いておくことで住宅ローン相談窓口をさらに有効に使えるだろう。

5.住宅ローンの借り入れを検討する

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國村功志
執筆・國村功志
大手証券会社で株式・債券・投資信託などの金融商品販売に携わる。その後、ファイナンシャルプランナーの養成団体やFP事務所を経て、現在は資産形成FPとして活動。個人の資産運用経験も活かし、金融機関や一般の人向けに毎月セミナーも開催。CFP®、証券外務員一種保有。
大手証券会社で株式・債券・投資信託などの金融商品販売に携わる。その後、ファイナンシャルプランナーの養成団体やFP事務所を経て、現在は資産形成FPとして活動。個人の資産運用経験も活かし、金融機関や一般の人向けに毎月セミナーも行っている。CFP®、証券外務員一種保有。

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