住宅ローンを払えない人が急増している?払えない場合の4つの対処法

2019.10.22
FINANCE
(写真=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)
(写真=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)
住宅ローン金利が過去最低を更新するなか、最近では働き方改革による残業削減が原因となり、住宅ローンを払えない人もいるという。住宅ローンを払えなくなる原因と、払えなくなった場合の対処法について解説する。

住宅ローンを払えない人の割合は0.99%

住宅金融支援機構によると、2019年3月末時点で1ヵ月以上住宅ローンを延滞している人の割合は0.99%(※住宅金融支援機構の「住宅金融支援機構債券・商品内容説明書2018年度」より)。一見低い数字にも思えるが、比較的厳しい住宅ローンの審査を通過した人に占める割合と考えると安心はできない。2016年から2019年までの延滞率を以下の表にまとめた。
 
  2016年3月末 2017年3月末 2018年3月末 2019年3月末
1ヵ月延滞率 0.61% 0.60% 0.58% 0.59%
2ヵ月延滞率 0.17% 0.15% 0.14% 0.14%
3ヵ月延滞率 0.12% 0.10% 0.10% 0.10%
4ヵ月以上延滞率 0.20% 0.17% 0.16% 0.16%
1.10% 1.02% 0.98% 0.99%
※住宅金融支援機構「住宅金融支援機構債券・商品内容説明書」2018年度版および平成29年度版を基に筆者作成

住宅ローン延滞率は、近年の金利の低下もあってか、減少傾向にあった。しかし2018年から2019年にかけ、僅かではあるが増加に転じている。

住宅ローンを払えない3つの要因

住宅ローンを払えない要因としては、資金計画に当初から無理のあったケースのほか、長い返済期間中に状況が変化して住宅ローンを払えなくなるケースがある。

リストラ・転職・残業削減による収入減少

終身雇用・年功序列制から成果主義への移行、非正規社員の増加、相次ぐリストラなど、収入は昔に比べ年齢を重ねても増えにくくなっている。転職によって収入が減少するケースや、働き方改革によって残業が削減され収入が激減するケースもみられる。昇給や残業代を見込んで住宅ローンを組んでいれば返済は苦しくなるだろう。

社会保険料の増加による手取り収入の減少

増え続ける社会保険料負担による手取り収入の減少も要因と考えられる。勤め先収入に占める税・社会保険料負担割合は、1988年~2017年の間に20.6%から25.7%まで5.1%上昇している(うち社会保険料の増加分が4.7%)。このうち4.2%は2007年以降10年間の上昇分であり、ここ数年で社会保険料負担が急増していることがわかる。(※大和総研の2018年6月発表「平成の30年間、家計の税・社会保険料はどう変わってきたか」より)

借入金額の返済負担の増大

可処分所得に占める住宅ローン返済額の割合は1980年の13.1%から2015年には20.2%となり、住宅ローンの負担感は増している。(※日本総研の2016年11月「Resarch Focus」より)

低金利のメリットを活かして多額のローンを組み住宅を購入する人も増えている。頭金なしのフルローンも一般的になり、20代で住宅を購入する人も珍しくない。背伸びして収入に見合わないローンを組んでしまうとちょっとした収入の変化でも住宅ローンを払えなくなる可能性が高くなる。

そのほか介護離職や離婚、教育費の増加などが原因で住宅ローンが払えなくなるケースもある。

住宅ローンを払えない場合の4つの対処法

様々な理由で住宅ローンが払えない場合、以下の4つの方法を検討したい。

借入先の金融機関へ相談する

住宅ローンを払えなくなる前にまずは借入先の金融機関に相談しよう。一時的な返済猶予や借入条件の変更(返済期間の延長、返済額の減額など)に応じてもらえるケースも多い。相談は滞納して金融機関からの信用が損なわれてしまう前にすべきだ。借入条件の変更が認められ返済を継続できるのであれば住宅を手放さずに済む。

住宅ローンを借り換える

住宅ローンの借り換えによって毎月の返済額を下げる方法もある。ただし収入の減少などを理由に借り換える場合には借り換え先となる住宅ローンの審査に通らない可能性も高い。また借り換えには諸費用がかかり、毎月の返済額は減っても総返済額が増える可能性もある。効果をシミュレーションした上で借り換えるべきか判断することが大切だ。

滞納が続いてしまう場合は任意売却や競売にかける

返済の滞納が3ヵ月以上続くと、借入先金融機関から一括返済を求められる可能性が高くなる。借り換えなどによって資金を準備できればよいが通常は難しいだろう。そうなると任意売却あるいは競売により住宅を手放さざるを得ない。売却代金ではローンを返しきれずローンだけが残ってしまうケースもある。

任意売却は、抵当権者である金融機関の同意のもと住宅を中古住宅市場で売却する方法だ。競売より高く売れることが多く、ローンが残った場合の返済計画や引越し(立ち退き)のスケジュールなどを調整しやすいなどのメリットがある。なるべくよい条件で売却するためには、仲介を行う不動産業者の選択が重要になる。

競売は金融機関または保証会社が住宅を差し押さえ、強制的に売却する方法だ。競売による売却価格は任意売却よりも低くなる傾向があり(市場価格の7割程度が相場)、買い手が代金を支払った時点ですぐに立ち退かなくてはならない。

任意売却のほうがメリットは多いといえるが、すぐに売れるとは限らない。売れないまま滞納が6ヵ月以上続けば金融機関に競売にかけられる可能性が高い。一定の猶予はあるため焦りすぎもよくないが、売却を選ぶのであれば早めに行動することが大切だ。

債務整理(個人再生・自己破産)も選択肢のひとつ

住宅ローン以外にも借金を抱えて返済が困難になったケースでは個人再生や自己破産などによる債務整理も選択肢となる。

住宅ローンを払えなくなる前に早めの対応を

住宅ローンを払えなくなってしまってからでは選択肢は限られる。住宅ローンの返済が苦しいと感じたらなるべく早めに借入先の金融機関に相談してほしい。低金利のうちにと購入を急いだり身の丈にあわない物件を購入してしまったりすれば住宅ローンを払えなくなるリスクが高まる。これから住宅購入を検討している人は今払えるかどうかではなく、将来を見据えた返済計画を立て無理のないローンを組むことが大切だ。

文・竹国弘城(ファイナンシャルプランナー)
 

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