サンドラ氏とは接触のない父親の後妻のインディテックスにおける影響力

フロラ氏の創業者に与える影響力は強く、今後のインディテックスはファミリー企業色を強くするようになる。何しろ、役員には彼女の兄弟3人と義弟がひとりいる。その内の2人の兄弟は執行役員のメンバーである。

アパレル業界で世界ナンバーワンの企業がファミリー色を強める点には疑問の余地は十分にある。しかも、執行権はないとは言え、会長に就任するマルタ氏は企業経営は全くの素人だ。インディテックス内のあらゆる部門で働いた経験はあるという。しかし、創業者の娘として働いても周囲は彼女に遠慮して厳しい指導はできない。しかも、インディテックスでZARAを始め8つのブランドのどれひとつにも最高責任者としての経営を任されたこともない。その一方で、創業者の娘で将来の後継者としてメディアに頻繁に登場してちやほやされている。

彼女がインディテックスの会長に就任して果たして経営能力を発揮する実力があるのかという疑問は非常に強い。その不安を如実に示すものとして、会長でCEOのパブロ・イスラ氏が4月にインディテックスを去り、マルタ氏が会長に就任すると発表された途端に同社の株は6%下落した。

これはあくまで想像でしかないが、創業者の前にフロラ氏が現れることなく、サンドラ氏がインディテックスの会長に就任していたら同社の将来への展望はより期待できるものになっていたかもしれない。またパブロ・イスラ氏もサンドラ氏が十分に経営者として成長するまで同社に留まっていたかもしれない。

文・白石 和幸/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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