偽薬でも本人の思い込みによっていくらか効果が表れることを「プラセボ効果」と言います。

実際にプラセボ効果を期待して偽薬を処方することもあれば、本物の薬の効果を確かめるための比較対象試験で用いられることもあります。

そしてこれまでに行われてきた研究の結果、プラセボ効果は投与方法や医師の雰囲気、患者の年齢によって効果の程度が異なると分かりました。

ここでは、本来はゼロであるはずの偽薬の効果をさらに向上させる方法をご紹介します。

目次

最初のプラセボ効果
偽薬の効果は投与方法と年齢によって変わる
偽薬を処方する医師の雰囲気にも影響される

最初のプラセボ効果

プラセボ効果を向上させる条件とは?
(画像=パーキンス・トラクターの複製 / Credit:Geni(Wikipedia)_Elisha Perkins、『ナゾロジー』より引用)

18世紀のロンドンでは、「パーキンス・トラクター」と呼ばれる高価な治療器具が話題になっていました。

「特殊合金でできている」と謳われた金属器具を20分ほど患部に振りかざすなら痛みが和らぐ、と信じられていたのです。

ところが実は、これらは全くの嘘であり、パーキンス・トラクターは単なる銅と真ちゅうの棒でした。

しかしながら、一部の人たちは「本当に痛みが消えた」と報告していたようです。

この出来事に興味をもったイギリスの医師ジョン・ヘイガ―ス氏は、ある実験を行いました。

安価な木でパーキンス・トラクターを作り、その効果を試したところ、同じように「痛みが和らいだ」という報告がもたらされたのです。

これが初めて実証されたプラセボ効果だと言われています。

さて現代では、金属や木の棒が用いられることはないものの、プラセボ効果自体を疑う人は少なくなってきました。

そしていくつかの研究が証明しているように、状況や方法によってプラセボ効果をさらに向上させることさえできるのです。

これからプラセボ効果を高める要素を考慮していきましょう。