お弁当の彩りや食卓にもう一品欲しい時、とても便利な「ほうれん草」ですが、実は栄養満点な食べ物だということをご存じでしたか?
ほうれん草の旬は冬!旬の時期のほうれん草は、甘みが増してよりおいしくなります。そんなおいしいほうれん草をより堪能するために、今回はほうれん草の栄養素や効果効能、購入する際のポイントや保存方法、お手軽レシピまでご紹介します!

ほうれん草は胃腸のほうき!?栄養素に効果効能、王妃の愛したレシピも紹介!
(画像=『店通-TENTSU-』より 引用)

目次
1 ほうれん草とは?ほうれん草の歴史とほうれん草の種類
 1.1 ほうれん草の歴史
 1.2 ほうれん草の品種
 1.3 ほうれん草は野菜では珍しい雌雄異株
 1.4 ほうれん草の旬は冬
2 ほうれん草の栄養素、効果効能とは?
 2.1 ほうれん草の栄養素
 2.2 ほうれん草の効果効能
3 注意したいほうれん草のえぐみの正体「シュウ酸」
 3.1 ほうれん草を茹でる時のポイント
4 おいしいほうれん草の見分け方に保存方法
 4.1 おいしいほうれん草の見分け方
 4.2 ほうれん草の保存方法
5 王妃カトリーヌも愛した「ほうれん草のオムレツ」簡単レシピ
 5.1 王妃カトリーヌとは?ほうれん草との関係性
 5.2 お家で簡単に作れる「ほうれん草のオムレツ」レシピ
6 まとめ

ほうれん草とは?ほうれん草の歴史とほうれん草の種類

ほうれん草は胃腸のほうき!?栄養素に効果効能、王妃の愛したレシピも紹介!
(画像=『店通-TENTSU-』より 引用)

ほうれん草の歴史

ほうれん草はもともとアカザ科に分類されていた野菜でしたが、2003年から遺伝情報を用いた新しい分類方法によってヒユ科の野菜となりました。

ほうれん草は今から2000年ほど前、西アジアのペルシャ(現在のイラン)周辺で栽培が始まり、東西に広まりました。日本には1500年代頃に中国から伝わったとされ、文献では、江戸の儒学者である林 羅山(はやしらざん)の『多識篇』にはじめて登場しました。
日本に伝わった当初は、ほうれん草という名前ではなく「菠薐(はりょう)」という名前で、明治以降に欧米からいろいろな品種のほうれん草が入ってきてから、「ほうれん草」という名前で呼ばれるようになりました。

ほうれん草の品種

ほうれん草の品種は今や100種ほどあると考えられていますが、大きく分けると東洋種・西洋種・交配種の3種に分けることができます。それぞれにどのような特長があるのか、簡単にご紹介します。

●東洋種
イランから中国に伝えられ、日本に入ってきた種。葉先がとがっていてギザギザしており、淡緑色で歯切れがよく味が良い。根本は濃い赤色をしており、秋に種をまく。

●西洋種
イランからスペインに伝えられ、欧州諸国・アメリカに伝わった後、日本に入ってきた種。葉先は丸く楕円形、濃緑色で葉の部分にややしわがある。根本は薄い赤色で、春に種をまく。

●交配種
東洋系品種と西洋系品種が大正末期から昭和の初め頃に自然交雑し、固定した系統で、両系統の中間の性質を持つ。現在の日本ではこの交配種が一番栽培されている。

ほうれん草は野菜では珍しい雌雄異株

多くの植物は、ひとつの花に雌しべと雄しべが存在している「雌雄同花(しゆうどうか)」といわれるものですが、ほうれん草には雌株と雄株がある野菜では珍しい「雌雄異株(しゆういかぶ)」です。
雌株には雌花だけが咲き、雄株には雄花だけが咲きます。

ほうれん草の旬は冬

今やほうれん草は1年中購入できる野菜ですが、冒頭でも述べた通りほうれん草の旬は冬。寒さに強く、気温がマイナス5℃になっても少しずつ生長し、マイナス10℃でも耐えると言われています。

ほうれん草は冬でも光合成が効率よく行えるよう、タンポポのように葉を茎から放射線状に広げて全部の葉に太陽光が当たるように生長します。この形のことを「ロゼット状」といいますが、これは葉が広がった様子を上から見るとバラの花びらのように見えることに由来しています。

ほうれん草の栄養素、効果効能とは?

ほうれん草は胃腸のほうき!?栄養素に効果効能、王妃の愛したレシピも紹介!
(画像=『店通-TENTSU-』より 引用)

ほうれん草の栄養素

ほうれん草は緑黄色野菜の中でも、バランスよく色々な栄養素を含んでいるため「緑黄色野菜の王様」と呼ばれています。では、そんなほうれん草の栄養素を詳しく見ていきましょう。

◆ほうれん草の主な食品成分(可食部100gあたり)

対象 エネルギー たんぱく質 脂質 炭水化物 食物繊維 ビタミンC βカロテン 葉酸
18kcal 2.2g 0.4g 3.1g 2.8g 35mg 4200ug 210ug
ゆで 23kcal 2.6g 0.5g 4.0g 3.6g 19mg 5400ug 110ug

※文部科学省 食品成分データベース / 出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

上記の数値は、通年平均の値になります。ビタミンCの量は、夏採りと冬採りで大きく違い、夏採りだと20mgですが、冬採りだとその3倍の60mgとなります。
夏と冬のビタミンC量に差がある理由として、夏は太陽光が強いため活性酸素がより作られます。活性酸素への対策としてビタミンCが使用されるため、ほうれん草に残るビタミンC量が少なくなってしまうのです。

ほうれん草の効果効能

◎貧血予防
ヘモグロビンの材料となる鉄、鉄の吸収を高めるビタミンC、ヘモグロビンを形成する葉酸を豊富に含んでいるため、貧血予防に適した野菜と言われています。

◎免疫力アップ
β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、ビタミンAには皮膚などの粘膜を正常に保つ働きがあります。その他にもほうれん草にはビタミンCやビタミンEなどの、免疫力を高める効果がある栄養素が豊富に含まれています。

◎動脈硬化予防
体内の活性酸素を除去する働きがあるβ-カロテンは、動脈硬化の改善や予防に効果的です。ほうれん草の「ピラジン」という香り成分には、血栓を防ぐ作用もあるため血流を改善する効果が期待できます。

◎便秘解消
食物繊維には、腸のぜん動運動を促進してくれる働きがあります。その働きゆえ、ほうれん草はヨーロッパでは「胃腸のほうき」と呼ばれているほどです。

◎美肌効果
ほうれん草には、肌のカサつきや肌荒れの改善効果が期待できるビタミンA、紫外線により作られる活性酸素を無効化し、メラニン色素の発生を抑制する効果があるβ-カロテン、シワの予防や改善にも役立つビタミンCが豊富に含まれているため、美肌効果が期待できます。

このように、ほうれん草は栄養満点の野菜です。生活習慣病予防にも効果があると考えられており、ヨーロッパやアメリカでは「一皿のほうれん草は、一瓶の薬に値する」とまで言われています。