駆け出しフリーランスの命運を分けるのが、仕事の獲り方。
SNSを使ったり、知り合いに声を掛けたり……手段は数あれど、実績のないうちから条件の良い案件を獲得するのはなかなか難しいことです。
そこで今回は、独立していきなり30万円分の案件を受注したフリーランスWebデザイナー・田村優太さんにインタビューを実施。
飲食店勤務から半年間のスクール受講を経て独立した田村さんは、独立直後から仕事が絶えず、フリーランス8ヶ月目のいまでは、バナーやサムネイルをはじめ、ホームページやLPなど、さまざまな制作物の依頼を受けているそう。
実績の少ない駆け出しフリーランスにも関わらず、なぜ彼のもとへは仕事がたくさん舞い込んでくるのか。「フリーランスの営業手法を知りたい」という方、必見です!
田村 優太
フリーランスWebデザイナー。飲食店勤務を経て独立。無料で使えるフリーランス・経営者専用ビジネスマッチングアプリ『BizOn!』を駆使して営業している。
聞き手:ゆぴ
フリーランスライター。営業手法はSNS以外あまり知らないコミュ障。
目次
フリーランスの営業力1. ビジネス感を出さない……!?
フリーランスの営業力2. 遠回しに言わず、本音で話す
フリーランスの営業力3. お金まわりのコミュニケーションは「自分からは言わない」
フリーランスの営業力4. プロフィールやポートフォリオは「引き算」でつくる
フリーランスの営業力5. 営業しなくていい裏口を見つける
フリーランスの営業力1. ビジネス感を出さない……!?

ゆぴ: 私は営業があまり得意じゃないんですけど、田村さん流の営業のコツはありますか?
田村: 「ビジネス感」を出さないことを徹底していますね。
活躍されているフリーランスの先輩から、「ビジネスとは、信頼を構築することや、相手の問題を解決することだよ」とアドバイスをいただいたこともあり、自分を売り込むような営業をするのをやめました。
まぁ、自分自身も独立当初は案件獲得目的でガンガン営業していたのでエラそうなことは言えないんですけど……(笑)。
ゆぴ: え、そうなんですか?
田村: 当時はTwitterで「Webデザイナー募集」で検索をかけてヒットした相手に対して、「何かお力になれることがあればよろしくお願いします!」とアピールしていました。でも、無視されることも多かったし、案件をいただけたとしても単価が低いものが多い印象でしたね。
訳のわからない案件を振られたこともあります。タイムリミット3時間でデザインを仕上げるとか、サムネイルを40個作るとか……

田村: でも、どうしてそんなことになってしまうかというと、自分がビジネス目的で関係を構築しようとしているから。そもそもの「信頼関係」ができていないんですよ。
僕も何度か知らない人から連絡をもらったことがあるので分かるんですけど、最初からビジネスモードで来られると警戒するし、「自分のことをお金としか見ていないんだな」というのは文面だけでも伝わってしまうもの。
だからこそ、「○○作ります!」と自分のできることを全面に出すよりもまず、純粋に会って話してみて、悩みを打ち明けてもらえるような仲になってから初めて提案してみるのがいいと思います。
ゆぴ: たしかに、ゴリゴリ営業されると逆に仕事を頼みづらいかも。
田村: なので、もしも営業がうまくいっていない人がいるとしたら、「稼ごうとしている」のが透けて見えちゃっているからかもしれません。
仕事を依頼してくださるクライアントのほうがいろんなフリーランスを見てきているぶん、何枚も上手ですから、小手先のテクニックは通用しないと思います。
駆け出し時って「稼ぎたい」という思いが顔とオーラに全部出るんです(笑)。ひとりで生活していかなければならないプレッシャーもあって焦っちゃって。
だからもう、最初から割り切って「そう簡単には稼げない」と思うことが大事だと思います。そうすれば変な案件で消耗せず、人間関係を構築することに集中できると思うから。

フリーランスの営業力2. 遠回しに言わず、本音で話す
ゆぴ: とはいえ、「信頼関係を築く」ってそう簡単なことじゃないと思うんです。何か工夫されていることはありますか?田村: まず、自分が本音で話すことですね。おそらく皆さんそれぞれ大事にしていることや悩みを抱えているとは思うんですけど、信頼している相手じゃないと打ち明けはしないじゃないですか。
でも、自分が本音を話さないことには相手も話してくれないし、「この人、建前で話している」というのが伝わっちゃうんです。
いま、僕は純度100%の状態で話してますからね。

田村: だって、自分が話さないくせに相手から本音を打ち明けてもらいたいなんておこがましいじゃないですか。自分は腹の内を明かさず安全地帯にいながら相手にだけ明かさせようとする限り、信頼は築けないと思います。
恋愛と一緒で、営業も失敗するものだと思ってコミュニケーションを取ってほしいですね。自分が好きだと思った人に対して、嘘を吐かないで、まずは自分から好きになっていくこと。失敗したり、無視されたりするかもしれないけど、どこかのタイミングで必ずうまくいきますから。
フリーランスの営業において、短期的な結果を求めてはいけないと思うんです。長い目で見て本当につながりたいと思った人と交流して、自分のことを信頼してもらうのが大切です!
ゆぴ: まずはこちらから自己開示をしていく。コミュニケーションが苦手な人でも真似できるポイントはありますか?
田村: コツは結構シンプルで、「遠回しに言わない」ことです。遠回しに言うと、相手も自分も気を遣うことになってしまうから。ただ、いきなり赤の他人に本音を言うのは難しいと思うので、まずは身近な人で練習してみるのがいいと思います。
自分の身近な人に本音が言えないくせに、赤の他人に本音なんて言えるわけがないですから。
