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根拠ある医療に大切なことは?

根拠ある医療に大切なことは?

ジェームズ・リンドの時代は世界のネットワークはまだ分断されていて、彼の仕事が広く伝わることはありませんでした。そのため壊血病の解決は、30年以上放置されていたのです。

しかし後にリンドの論文は著名な医師の目に留まり、再現が試された結果、壊血病を激減させて高く評価されることになりました。

リンドの行った比較対照試験は、瀉血医療に対しても行われ、瀉血が有効な治療法でないことも暴いていきます。

こうしたリンドの手法や、また統計学を用いたナイチンゲールの臨床試験が洗練され、現代の医療が確立されていったのです。

当時リンドが失敗した点も含めて、「科学的」な医療には2つの重要な要素があります。

1つは定量的で明確な基準を持った実験を行い結果を広く世界に発表して、新しく得られた知識をみんなが利用できるようにすること。

そしてもう1つが、報告内容から再現性が取れるかどうか、他の研究者たちに広く促すことです。

こうして発見された事実や治療法が、本当に正しいのかどうか広く検証されることで、現代の医学は成り立っています。

以前、STAP細胞の研究で、担当の研究者がかなり批判された出来事がありました。あの研究では、他の研究者たちが同じ方法を試しても、報告されているような再現性を取れないという点が問題にされたものです。

再現性が取れないということは、報告内容に間違いがあるということです。彼女の場合は、それが虚偽の報告をしたためだと判断され批判されたのです。

しかし、現実の研究では単純に勘違いをしているケースも、リンドのように正しいけれど重要なメカニズムを見落としたために再現できないケースも存在するでしょう。

だからこそ、研究を広く発表するということは重要な意味があるのです。

現在様々なコロナウィルス関連の報告が研究者たちから発信されています。話題性が高いため、そうした報告は即時ニュースとなって世界中に広まります。

私たちはそんな研究発表をすぐに事実として拡散しがちですが、最初の研究報告というのはあくまで、他の研究者たちに「事実であるか検証してください」という意味合いで行われていることを見落としてはなりません。

「科学的」根拠に基づく医療は、臨床試験を通して数々の検証に耐え、再現性が確保されたときに初めて事実と認められるものなのです。

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