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もうひとりの科学的医療の創始者

もうひとりの科学的医療の創始者

コロナウイルスのウソ・ホントがわからない…「根拠のある医療」とは?
(画像=フローレンス・ナイチンゲール。/Credit:Wikipedia Commons、『ナゾロジー』より 引用)

現代の医療を拓いた人物として忘れてならないのはナイチンゲールです。

彼女のことは「なんか有名な看護婦さん」くらいの認識しかない人も多いかもしれませんが、ナイチンゲールは女性も高い教育を受けるべきという父親の方針で、非常に高度な数学の知識を持っていました。

ナイチンゲールの生きた時代では、病院は非常に不衛生でした。彼女が赴任した野戦病院では、下水管がつまって汚物があふれかえり、周辺の道端には馬や犬の死骸放置され、病人を入れ替えてもシーツも取り替えないというような有様でした。

ナイチンゲールはこの病院を徹底的に掃除し、清潔なシーツに取り替え、病院の衛生環境を劇的に改善させました。

ナイチンゲールは医療の重要な決定は科学的根拠に基づいて行われるべきだという信念を持っていました。陸軍の死亡率も衛生環境が問題であることを示すために、彼女は統計データを証拠として上層部に掛け合ったのです。

コロナウイルスのウソ・ホントがわからない…「根拠のある医療」とは?
(画像=ナイチンゲールが考案した円グラフ。/Credit:Wikipedia Commons、『ナゾロジー』より 引用)

この野戦病院では、ナイチンゲールが来る前の兵士の死亡率は40%を超えていましたが、彼女の改革の後には死亡率がわずか2%まで下がったのです。

またこの時代、わざわざコストをかけて看護婦を育成するということは無駄だという考え方が主流でした。

そこでナイチンゲールは、2つに分けた患者グループを訓練された看護婦と、素人の看護婦に割り振り、患者の経過が明らかに異なることを統計学的に示したのです。

このようにナイチンゲールは慣習や偏見で物事を判断していた時代の医療を、数学の知識を用いて何が本当に有効で必要なのか示し、現代に繋がる医療の改革を行ったのです。