脳波を読み取ることで脳の盗聴が可能になりました。
今年の1月はじめに『CODS COMAD』にて発表された研究によれば、脳波を観測するだけで、人間がどんな音楽を聴いているかを判別するAIが開発されたとのこと。
研究結果が正しければ、脳内の音楽的なプライバシーは、脳波の形でダダ漏れしてしまうかもしれません。
しかしAIを使用したといっても、本人だけにしか聞こえていない音楽をどうやって特定できたのでしょうか?
音楽と脳波に1:1の関係は存在するのか?
近年の脳波分析技術の急速な進歩により、脳は特定の音に対して特有の脳波を発生させることがわかってきました。
音に一定のリズムがある場合、脳波にも同様の周期の変動がみられるのです。
しかし既存の研究はあくまで純粋な「音」に対するものであり「音楽」と脳波の関係が確かめられていませんでした。
音楽は単なる音と比べて複雑な繰り返し構造をもち、個人の気分や感情といった脳のさまざまな部位に影響を与える力があるため、純粋に聴覚にかかわる脳波だけを検出することが困難だったのです。
そこで今回、研究者たちは人間の脳の神経接続を模倣する「ニューラルネットワーク」を搭載したAIに対してトレーニングを行いました。
教材となったのは、20人の人間が12曲の音楽を聴いた時に測定された脳波です。
脳波を測定するにあたっては、聴覚以外の感覚を抑えるために、人間たちは目隠しをされたまま音楽を聴きました。
もしAIが曲名と脳波のパターンに何らかの関係を学習していれば、次回からは脳波のデータのみで対応する曲名をあてられるはずです。
AIの学習が済み、実験はいよいよテストの段階へと移行しました。