歴史ある寺社がたくさんある、奈良。そのなかでも日本最古の神社とも言われているのが、奈良県桜井市にある大神神社(おおみわじんじゃ)です。大和国一ノ宮でもあり、昔から人々の信仰を集めてきました。
大神神社のご神体は三輪山で、本殿を設けず拝殿からお参りするという原初のスタイルが今も受け継がれています。それだけに大神神社の鳥居をくぐれば、どこか厳粛な空気を感じます。
今回は、そんな大神神社について余すところなく紹介します。
目次
<1. 大神神社ってどんなところ?>
<2. 国の重要文化財に指定されている大神神社の拝殿を参拝>
<3. 大神神社でパワーチャージ! 気になるスポットへ足を運んでみよう>
<4. 万病に効く神水も!? 病気平癒を願って狭井神社へ>
<5. 三輪山登拝で自然のパワーを!!>
<6. 目の前に広がる絶景に心奪われる......>
<7. 大神神社の広い境内にはほかにもご利益のある神社がたくさん!>
<8. 大神神社のお守りでご利益にあやかる!>
<9. 大神神社の行事にも注目!>
<10. 大神神社周辺のグルメを堪能する!!>
<11. 大神神社の周辺にはほかにも観光スポットが盛りだくさん!>
<12. 大神神社へのアクセス>
<13. 大神神社の基本情報>
1. 大神神社ってどんなところ?
大神神社の始まりは神話の時代にさかのぼります。出雲で国造りをしていた大国主神(おおくにぬしのかみ)のパートナーである少彦名神(すくなひこなのかみ)が急に常世(とこよ)の国に行ってしまい、いなくなりました。常世の国というのは、古代の人が信じていた遠くにある国のことです。
「これからどうやって国造りをしようか」と大国主神が悲嘆に暮れていたところ、海の向こうから神様が現れ「わたしは大国主神の幸魂(さきみたま)、奇魂(くしみたま)です。わたしを三輪山に立派にお祀りしなさい。そうすればいっしょに国造りに協力しましょう」と言いました。そこで大国主神は大物主神を三輪山にお送りになりました。これが大神神社のはじまりとされています。
なお、幸魂というのは人をしあわせにする霊魂で、奇魂というのは、物事を成就させる霊魂のことです。
そういうわけで、大神神社の御祭神は大物主大神です。配神として大国主神の別名である大己貴神(おおなむちのかみ)と少彦名神が祀られています。

大神神社で祀られているのは、ご神体である三輪山です。三輪山は標高467メートル、周囲16キロメートル、面積350ヘクタールの見た目も美しい山です。昔から「御諸山(みもろやま)」とも呼ばれており、一木一草にいたるまで神が宿ると言われています。とりわけ杉の木はご神縁の深い神聖な木とされています。
大物主神と少彦名神はお酒の神様でもあり、拝殿には大きな杉玉がかかっています。ここ大神神社が杉玉の発祥といわれ、全国の酒蔵、酒屋の軒先でよく見る杉玉は大神神社から分けられているのだそうです。
毎年11月14日に、醸造安全祈願祭(酒まつり)が行われていますが、それに先立ち新しい緑の杉玉に架け替えられるのだとか。
2. 国の重要文化財に指定されている大神神社の拝殿を参拝
では、早速参拝していきましょう。

三輪山の山麓はこのようになっています。
大鳥居

昭和59年に昭和天皇の御親拝と在位60年を記念して建てられた鳥居です。高さ32.2メートル、柱の間は23メートルであり、日本でもかなり大きな鳥居の一つです。この鳥居の向こうには三輪山がきれいに見渡せます。
二の鳥居

大鳥居から10分ほど歩くと二の鳥居があります。二の鳥居をくぐるとあたりは鬱蒼とした森に。言葉では言い表せない清らかで神々しい空気に包まれていて、ここからは神様がいらっしゃるところなのだと感じることができるでしょう。
夫婦岩

二の鳥居をしばらく進むと、左手に夫婦岩があります。古くから神様が鎮まり信仰をあつめる磐座です。

二つの岩が仲良く寄り添っているところから夫婦岩と呼ばれています。夫婦円満や縁結びを願う人々に信仰されています。
拝殿(はいでん)

大神神社には本殿がなく、拝殿が神社の建物のなかでも最も重要な位置付けとなっています。現在の拝殿は1664年に徳川四代将軍家綱によって再建されたもので、国の重要文化財に指定されています。
拝殿の後ろには三ツ鳥居があり、三輪鳥居とも言われていて、拝殿とご神体である三輪山を区切る最も神聖な地にあり、本殿にかわる最も神聖なものです。大神神社の古文書には「古来、一社の神秘なり」と書かれています。大神神社に古くより伝わる神聖な鳥居であり、三ツ鳥居は普段、参拝者の目に触れないようになっているのです。
手水舎(てみずしゃ)

参拝の前に身を浄める手水舎です。手水舎は神社ごとに特徴があってとても興味深いのですが、大神神社の手水舎は酒樽から蛇が出てきて、その口から水が流れ出ています。その蛇は宝珠を抱いています。大神神社の神様、大物主神が酒の神様であり、神話にも蛇の姿で伝わるなど、神様とご神縁が深い生き物とされています。