iCloudにバックアップしているデータがダダ洩れ!

Aさんはさっそくクレカの利用を停止させた。すると、再発行手続きのお知らせがiCloudのメールに届いた。そのとき、Aさんはようやくもうひとつの被害に気が付いたという。Apple IDが乗っ取られたということは、iCloudメールはもちろん、iCloudにバックアップしてある写真や様々なデータもすべて見られてしまっている!
iCloudには、メールのほかに連絡先・写真・メモ、さらには各種サービスのアカウント情報を管理する「キーチェーン」など、16種類ものデータをバックアップする機能が搭載されている。iPhoneの機種変更や故障の際は、データを簡単に復元できるため非常にありがたい機能だが、Apple IDが乗っ取られると、これらもすべて詐欺師の手に渡ってしまうのだ!!
Aさんの場合は、たまたま写真や連絡先をiCloudにバックアップしていなかったが、「Amazon」や「楽天市場」といったECサイトのほか、ネットバンクなどのパスワードをメモして保存していた。これでは、Apple IDと紐づいていないパスワードまでダダ洩れになってしまう! そこでAさんは仕事を休み、泣きながらメモに記述してあったパスワードを、丸1日かけてすべて変更したという。

【実録!】フィッシング詐欺で「Apple ID」を乗っ取られるとこんなに恐ろしいことになる!!
(画像=これがiCloudでバックアップできる全16項目。もし全項目のバックアップを有効にしている状態で、Apple IDが乗っ取られたら……、考えただけでもゾッとする。重要なIDやパスワードはオフラインで管理できるUSBメモリなどに保存したほうがよいだろう、『オトナライフ』より引用)

iTunes Storeで買った曲も有料アプリもすべて失う!

Apple IDに紐づいたクレカを止め、iCloudに保存したメモにあったECサイトなどのパスワードをすべて変更し、これで失うものは何もないとホッと一息ついたAさんだったが、さらなる悲劇が襲ってくる。
少なくとも3カ月間はApple IDが取り戻せないため、Apple IDを新しく作り直すことにしたAさんだったが、それは、これまでiTunes Storeで買った曲も、有料アプリもすべて消えてなくなってしまうということを意味する。音楽CDを買わなくなってから約8年、Aさんがその間にiTunes Storeで購入した音楽は数百曲にのぼる。通勤電車で音楽を聴いていたAさんにとって、これがもっともショックな出来事だったという。

【実録!】フィッシング詐欺で「Apple ID」を乗っ取られるとこんなに恐ろしいことになる!!
(画像=Image:charnsitr / Shutterstock.com、Appleのサポートセンターに問い合わせているときには、一切頭になかったiTunes Storeで購入した曲の数々。また、イチからダウンロード購入し直すのはイタ過ぎる……、『オトナライフ』より引用)