将来の展望としては、Lac-Phe自体やその働きを模倣する化合物を、体重管理のために利用できるかもしれません。
つまり、激しい運動が難しい人でも、食欲の調整を助ける治療が可能になるかもしれないのです。
一方で、ヒトでの有効性と安全性の評価、長期投与時の影響、年齢や性別、体組成、代謝状態などによる個人差の検証といった課題が残っています。
また、現在までの報告ではマウスで明確な副作用は示されていませんが、ヒトで同じとは限りません。
こうした検証が進めば、空腹感を抑える「運動なしの減量」の道も見えてくることでしょう。
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参考文献
Hunger-blocking exercise molecule drives weight loss without workouts
https://newatlas.com/disease/obesity/exercise-fat-loss-metabolite/
New study sheds light on how exercise helps lose weight
https://www.bcm.edu/news/new-study-sheds-light-on-how-exercise-helps-lose-weight
元論文
Lac-Phe induces hypophagia by inhibiting AgRP neurons in mice
https://doi.org/10.1038/s42255-025-01377-9
ライター
矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。
編集者
ナゾロジー 編集部