また追加の分析により、ひきこもり者に起こる血液成分の変化はうつ病や気分障害の患者にみられるパターンと一部似ているものの、いくつかの無視できない違いもあることが示されています。

(※例えばアシルカチニンはうつ病や気分障害によっても上昇することが知られていましたが、ひきこもり者では長鎖アシルカチニンのみが上昇する点で異なっています)

この結果は、ひきこもりはうつ病や気分障害とは独立した状態である可能性を示します。

研究者たちは今後、ひきこもりと血液成分の関係を調べていくことで、ひきこもりに効く栄養療法の開発が可能であると述べています。

(※例えば、ひきこもり者の血液で低下しているアルギニンなどを栄養ドリンクで補充する)

またひきこもりの生物学的な理解が進めば将来的に、抗ひきこもり薬などが開発されるかもしれません。

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参考文献

Finding the biological roots for pathological social withdrawal, Hikikomori
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/724

元論文

Blood metabolic signatures of hikikomori, pathological social withdrawal
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/19585969.2022.2046978

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部