テストされた4つの姿勢は次の通りです。
- 直立:まっすぐに立った状態。もしくは正座
- 右傾:右に寄りかかった状態。もしくは体の右側を下にして寝た状態
- 左傾:左に寄りかかった状態。もしくは体の左側を下にして寝た状態
- 後傾:後ろに傾いた状態。もしくは仰向けになって寝た状態
その結果、シミュレーションでは右傾姿勢で薬を飲むと、胃の一番深いところに薬が入り込み、直立姿勢で薬を飲むよりも、薬が2倍早く「溶ける」と判明。
また左傾姿勢だと、直立姿勢に比べて薬の吸収に最大5倍の時間がかかることも分かりました。
ミタル氏は、「高齢者や座りっぱなしの人、寝たきりの人にとって、右に傾いているか、左に傾いているか、という違いは大きな影響を与えます」と述べています。
ちなみに今回の結果は、1988年に発表されたアメリカ・ユタ大学(The University of Utah)の「右側に横たわると、胃が食物を腸に排出する速度が向上する」という報告や、2008年に発表されたドイツ・ケルン大学(University of Cologne)の「右に傾いて座ったり立ったり寝転んだりすると経口薬の吸収が促進される」という報告とも合致しています。
ですから、私たちが「一刻も早く痛みを和らげたい」と感じて鎮痛薬を飲む場合、体を右に傾けながら飲み、その状態をしばらく保つと良いでしょう。
薬を飲む姿勢が悪いと「胃の機能不全」と同レベルの悪影響がある

さらに研究チームは、胃不全麻痺(胃が麻痺して動きが悪くなる病気)の場合に、薬の吸収がどのように変化するかもシミュレーションしました。
その結果、胃の消化力が少し低下するだけで、錠剤を消化して十二指腸に排出する速度が大きく落ちました。
しかもその変化量は、間違った姿勢がもたらす消化吸収の遅延と同レベルだったのです。