クマによる人身事故のほとんどは、予期せぬ状況でクマとばったり出会ったというケースが多く、クマもパニックになっているため、その被害の程度は非常に幅広いのが実情です。

実際の被害報告を見てみると、軽症例は引っかき傷や浅い咬み傷にとどまることもありますが、重傷例の内容は想像を超えるものです。

クマ被害は「グロすぎて報道出来ない」

秋田大学のまとめた重症例(1995年〜2017年、13例)では、すべての症例で顔面への外傷が見られ、そのうち10例で顔の骨(鼻骨、頬骨、顎骨など)の骨折が発生しています。さらに4例では眼球が破裂して失明し、頭蓋底骨折や髄液漏、硬膜下血腫など脳にもダメージが及んだケースもありました。

山梨県立中央病院で報告された9例でも、顔面の外傷は全例で確認され、眼の重い損傷が6例(うち眼球摘出2例)、さらに外鼻全欠損(鼻が失われる)症例も報告されています。顔や頭、なかでも目や鼻など「顔の中心」が集中的に狙われる傾向があるのです。

加えて、顔の皮膚や筋肉が大きく失われてしまい、何度も形成手術や植皮を繰り返す必要があった人もいます。さらに、顔を守ろうとしたときに腕や体にも深い傷や骨折を負い、出血性ショックに陥る例も確認されています。

これら重傷例では、受傷後も複数回の大手術や長期入院が必要となり、気管切開による気道確保輸血を要することもあるようです。また、一見すると小さな裂傷であっても、その内部では筋肉や神経が断裂していることも多く、見た目以上に重篤なダメージを負っている場合が少なくないという。

このような重篤な外傷の画像や詳細な手術経過は、一般向けのメディアではグロテスクすぎて掲載できません。しかし、下記の専門論文では医学的な資料として、実際の被害者の状態や傷の状態が公開されています。

その内容はテキストで述べると次のようなものです。

  • 顔面の皮膚や筋肉、骨までえぐり取られる