特にナミビアやオーストラリア、ロシア、ブラジルなどの乾いた草原や砂地でよく見られ、古くから地元の人々の間でも不思議な現象として語り継がれてきました。

衛星画像やドローン写真では、そのパターンが地上絵のようにくっきりと浮かび上がり、科学者たちをも魅了してきました。

しかし、その正体については長い間、はっきりした答えがありませんでした

これまでフェアリーサークルの原因としては、大きく分けて二つの説が有力とされてきました。

一つは「シロアリ説」です。

これは地下に住むシロアリが、地表の植物を食べてしまうことで、円形のハゲ地ができるという説です。

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もう一つは、「植物の自己組織化理論(self-organization)」と呼ばれるものです。

これは、限られた水や栄養分をめぐって植物どうしが競争するなかで、自然と円形の模様ができるという考え方です。

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どちらの説にも根拠はありましたが、どちらか一方だけで世界中のフェアリーサークル現象すべてを説明することはできませんでした。

またフェアリーサークルは、場所によっては直径が数百メートル、深さは数メートルほどになることもあり、この規模のフェアリーサークルの形成については、上記の理論では説明することができません。

そこで今回ウィーン大学の研究チームが注目したのは、「地面の下で何か“何らかのガス”が湧き出しているのではないか?」という説です。

地中深くからガスがゆっくりと湧き上がることで、その圧力が地表の地盤を押し上げたり沈めたりし、円形の凹地が生まれることがあります。実際に、地下のガスや水が動くことで似たような地形ができるケースも知られています。

しかし、この理屈で本当に既存の確認されているようなフェアリーサークルが形成されるかどうかはまだわかりません。そこで研究チームは最新の数値シミュレーション(numerical modeling)技術を使い、地下からガスがゆっくりと上昇した場合に地表がどう変形するかを詳細に計算することにしました。