エネルギーの摂取は長期生存のために行われる行動てあるため、緊急の状況では優先度が低くなります。
食事中は基本的に生き物は無防備になるため、捕食者に追われるなど生存が脅かされている緊急事態においては、食欲に気をとられないように抑えるシステムが働くと考えられるのです。
高齢者や寝たきり患者に運動の恩恵を与える薬が開発できる

今回の研究によって、激しい運動によって分泌される「N-Lac-Phe」が、食欲を抑える効果を発揮している可能性が判明しました。
また「N-Lac-Phe」はマウスだけでなく、激しい運動を行った人間でも分泌されていることが判明し、幅広い種に共通して存在するシステムである可能性が示されます。
さらに追加の調査では「N-Lac-Phe」の分泌は免疫細胞や臓器の上皮細胞など体の複数の部位から行われていることが示されました。
この結果は激しい運動を検知しているのは筋肉だけではないことを示します。
研究者たちは今後、「N-Lac-Phe」がどのようにして脳の食欲を抑えているかを解明していきたい、とのこと。
運動と健康効果を結ぶ分子メカニズムを解明して中間の「効果の引換券」を利用することができれば、高齢者や寝たきり患者など運動が困難である人々に対して、運動したのと同じような健康効果を与えられるかもしれません。
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参考文献
Exercise-Induced Metabolite that Reduces Food Intake Identified
https://www.genengnews.com/topics/omics/genomics/metabolomics/exercise-induced-metabolite-that-reduces-food-intake-identified/