その結果、驚くことに、音声条件では男女どちらの学生も、男性教授が話した講義の方をほとんど全ての項目で高く評価するという傾向が明確になりました。
具体的には、「明瞭さ」「興味深さ」「有能さ」「自信」「学びの多さ」「受講意欲」のすべてで男性教授の評価が高くなりました。
ただ一つの例外は、ここでもやはり「学生への配慮や思いやり」の項目で、この点においてのみ女性教授の評価が高かったのです。
これは、「男性は授業を上手く教えられる能力があり、女性は学生に対して親切である」という、私たちが無意識に抱いているステレオタイプ(固定観念)が評価結果にそのまま反映されてしまった可能性を示しています。
さらに重要なのは、この偏った評価の傾向は、学生自身が「男女は平等であるべきだ」という意識を持っていてもほぼ変わらなかったということです。
研究者たちは、参加者がどの程度「社会的な男女平等」に対して意識を持っているかもアンケートで調べましたが、たとえ平等意識が高い学生であっても、有能さや自分が受講したいかどうかという点で男性教授をより高く評価する傾向が変わらなかったのです。
つまり、自分では「性別による偏見なんて全くない」と思っていても、評価を下す場面になると無意識の偏見の影響を受けてしまうことがあるということです。
今回の2つの実験結果は、授業の評価や教授の評価が、私たち自身が気づいていないところで強く影響を受けている可能性をはっきりと示しました。
その影響とは、教授が男性か女性かという「性別の差」によるものだったのです。
自分が公平だと思っている人も影響から逃れられない

今回の研究から同じ講義内容でも教授の性別が男性か女性かによって、学生がその授業をどう感じるかに大きな差が生まれることがわかりました。
この結果はとても重要です。