中国の南方科技大学(SUSTech)で行われた研究によって、DNAを使ったカセットテープに、音楽や映像、写真といった膨大なデジタルデータを超高密度で保存する新技術が開発されました。
このDNAカセットテープは、データをDNA分子の配列(A・T・C・Gという4種類の塩基の並び)に変換し、プラスチックのテープ上に保存する仕組みです。
理論的には100メートルあたり約36ペタバイト(=36,000テラバイト)もの情報を保存可能とされ、これは世界中の音楽をすべて収めても余るほどの容量です。
また、このテープは「クリスタルアーマー」という特殊な結晶性保護層でDNAを覆うことで、室温で約345年もデータを安定して保存できると推定されています。
従来のハードディスクやメモリーカードと比べ、超省スペースでエネルギーをほぼ必要とせず、数世紀にわたり情報を後世に残せる可能性を秘めています。
私たちの思い出や歴史が、いつかDNAカセットテープで永久保存される日が来るのでしょうか?
研究内容の詳細は2025年9月10日に『Science Advances』にて発表されました。
目次
- DNAは究極のデータ保存メディアになる?
- DNAカセットテープは全人類の音楽を保存できる
- DNAカセットテープが変える世界—巨大データ時代を支える新技術とは?
DNAは究極のデータ保存メディアになる?

私たちが暮らす現代社会では、毎日驚くほどの量のデータが生み出されています。
スマートフォンで撮影した写真や動画から、学校や研究所で集められる大量の科学データ、インターネット上にあふれる情報まで、あらゆるものがデジタルという形で保存されています。