これらの物質は、食品の包装や加工過程で食べ物に混入し、ホルモンバランスや代謝に悪影響を及ぼすことが懸念されています。
実際に実験では、超加工食品を摂取した男性グループのホルモンバランスが乱れていることが確認されました。
3.精子運動率の低下
3つ目の害悪は、「生殖機能」への影響です。
超加工食品中心の食事をとったグループでは、男性ホルモン(テストステロン)と精子を作るのに重要な卵胞刺激ホルモン(FSH)が減少し、精子の運動性(泳ぐ力)も低下していました。
特に「精子の全運動率」が有意に下がったことは、将来的な男性不妊のリスクが高まることを示唆しています。
世界的に精子の質が低下している背景には、こうした食生活の変化もあるかもしれません。
カロリー制限しても避けられないリスクとは
今回の臨床試験の大きな特徴は、「両グループとも摂取カロリーと栄養バランスを厳密に揃えた」ことにあります。
つまり、“食べすぎ”や“偏った栄養”が原因ではなく、「加工の度合いそのもの」が健康に悪影響を及ぼすことが証明されたのです。
従来の研究では、超加工食品の害悪は「食べすぎによる肥満」や「糖質・脂質過多」といったカロリー由来のものと考えられてきました。
しかし今回の研究では、未加工食品に切り替えただけで、短期間でも体重や脂質、ホルモン・精子運動性などに大きな差が生まれたのです。
加えて、超加工食品には「食品添加物」や「保存料」「人工甘味料」なども多く含まれており、これらが体内にどのような長期的影響を与えるかは、まだ十分に解明されていません。
また、習慣的にこうした食品を摂取し続けることで、心臓病や糖尿病、がんなどの慢性疾患リスクがさらに高まることも、多数の疫学研究で示唆されています。

忙しい現代人にとって、パンやカップ麺、冷凍食品、スナック菓子といった「超加工食品」は欠かせない存在になっています。