肉ベースか植物ベースかに限らず、栄養面で完璧なものはほとんどないのです。

具体的には、必須アミノ酸の基準を満たした製品は全体の約55パーセント、ミネラル基準をクリアした製品は16パーセント、B群ビタミンの基準をクリアした製品は24パーセントでした。

ビタミンDについては、すべての製品で基準をクリアしていました。

ただし、基準を下回っていた成分も、すぐに健康被害につながるほどの極端な不足ではありませんでした。

メーカー側が今後サプリメントや強化原料を活用すれば、簡単にクリアできる範囲だと考えられます。

飼い主としては、どんなフードでもラベルや原材料をよく確認し、気になる成分の基準が満たされているかをチェックすることが大切でしょう。

今回の研究にはいくつかの限界があります。

まず、イギリスで流通している大人の犬用ドライフードが対象でした。

そのため、子犬や妊娠中、授乳中の犬、病気を持つ犬にはそのまま当てはまらない場合もあります。

また市販されているビーガンフードすべてを網羅したわけではない点も考慮すべきです。

一方で、この研究がペットフード企業と無関係に独立して行われ、成分分析も客観的かつ精密に行われた点は評価に値します。

「ビーガン=危険」「肉だけが絶対安全」といった極端な意見を支持することを目的としたのではなく、科学的に分析して「選択肢の幅が広がっている」ことを実証した意義は大きいといえます。

今後は長期間にわたって犬にビーガンフードを与え続けた場合の健康への影響や、成分が体内でどれだけ利用されるか、つまり消化吸収率などを調べる研究が期待されています。

この研究は、極端な主張を推奨するものではありません。

飼い主としては、最新の情報を参考に、愛犬ごとに合った最適なフードを選ぶことが大切です。

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参考文献

Vegan diets for dogs likely as healthy as meat-based ones
https://newatlas.com/pets/dog-vegan-diet-healthy-nutrition-study/