サンプルは肉ベース、植物ベース(ビーガン・ベジタリアン)、獣医療用の3つのグループに分けて調査されました。
肉ベースは鶏肉や牛肉、羊肉などが主原料の19種類、植物ベースは豆類や穀物など動物性原料不使用の6種類、獣医療用は腎臓病など特定の疾患対応で低タンパク設計の6種類です。
分析項目はタンパク質、犬が体で作れないため食事から摂る必要がある必須アミノ酸9種類、脂肪酸、カルシウムや鉄、ヨウ素など13種類のミネラル、ビタミンD、ビタミンB群(B1、B2、B3、B5、B6、B7、B9、B12)です。
さらに、欧州ペットフード工業連合会(FEDIAF)の基準をもとに、すべての成分が基準を満たしているかどうかも調べました。
このようにして、1つ1つのフードを細かく分解・分析し、本当にビーガンフードだけでも犬に必要な栄養がすべて揃うのかを明らかにしました。
一部を除いて肉ベースも植物ベースも栄養素に大差はない
今回の研究でまず分かったことは、肉ベースと植物ベースのフードのタンパク質量や必須アミノ酸のバランスに大きな差はなかったということです。
植物性原料、たとえば豆や大豆、エンドウ豆なども上手に組み合わせることで、肉と同じくらいのタンパク質やアミノ酸量を実現できると分かりました。
脂肪酸、特にオメガ3やオメガ6といった必須脂肪酸も必要量を満たしており、亜麻仁やチアシードなどの原料が活用されています。
一方で、ビーガンフードではヨウ素とビタミンB12、B9(葉酸)、B3(ナイアシン)などのB群ビタミンが不足しやすいことも明らかになりました。
ヨウ素は海藻や藻類を原料に加えることで補える場合がありましたが、それ以外の製品では不足が見られました。
ビタミンB12も動物性食品が主な供給源となるため、ビーガンフードを与える場合は、サプリメントや添加剤で強化する工夫が今後も必要でしょう。
ちなみに、調査した31製品のうち、すべての栄養基準を100パーセント満たしたものはごくわずかでした。