鼻呼吸は左右均等ではなく、常に一方がより多くの空気を通すようです。
イスラエルのワイツマン研究所の研究者たちにより2021年に科学雑誌『PLOS ONE』に掲載された論文によれば、人間の鼻呼吸では、一定の時間で気流の優勢な鼻孔が入れ替わるとのこと。
また優勢となった鼻孔は、呼吸量の75%を占めることも以前に示されています。
同様の優勢な鼻孔の「循環」は、マウスやラット、ウサギ、犬など他の哺乳類にも確認されており、進化的に保存された、かなり「由緒ある」仕組みであるようです。
なんとなく気付いていた人もいるであろう、この奇妙な仕組み(鼻サイクル)には、いったいどんな秘密が隠されているのでしょうか?
目次
- 右利きの人は左の鼻孔でより多くの空気を通す
- 鼻サイクルがある理由
右利きの人は左の鼻孔でより多くの空気を通す

もし鼻づまりでないならば、少し鼻呼吸に注意を向けてみてください。
おそらく少なくない人が、左右の鼻孔を通る空気量に差を感じると思います。
この微妙な差については、瞑想家やヨガの実践者といった呼吸のスペシャリストでなくとも、薄々気付いていた人もいるかと思います。
しかし意外なことに、十分な科学的研究は行われていませんでした。
そこでイスラエルのワイツマン研究所の研究者たちは、鼻呼吸の不思議に挑むことにしました。
実験方法は極めてシンプル。
空気の流れを感知するセンサーを被験者たちの両方の鼻の孔に刺し込み、さまざまな条件で記録したのです。

結果、人間の鼻呼吸には常に「優勢な鼻孔」が存在しており、呼吸頻度の多い覚せい時には平均2時間ごとに、呼吸頻度の低い睡眠時は4時間半ごとに切り替わる「鼻サイクル」が存在することが判明します。