古民家などをリノベーションして街一つ丸ごとホテルに

従来からある観光資源の活用にも積極的に取り組んでいるという。
「欧米豪(欧米・オーストラリア)からの旅行者も増えているのですが、その要因の一つに、24年に愛媛県とAirbnb Japanが包括連携協定を結ばさせていただいことがあります。これまで県内にはAirbnbに登録している宿泊施設は少なく、また愛媛県のような小さい県に欧米豪からあらゆるタイプの旅行者に来てもらうというのは非常にハードルが高かったので、どこかに絞った形でプロモーションしなければならないと考えていました。
いろいろと調査してみると、2019年に広島県に来られたオーストラリアの方は約13万3000人だったのに対し、愛媛県は約3000人しかいませんでした。広島から愛媛まではフェリーで1時間くらいなので、まず広島から観光客を引き込んでくる方策を検討しました。また、オーストラリアの方は旅行日数が非常に長くて消費単価も高く、サイクリングやトレッキングが好きな方が一定数いるということが分かりまして、トレッキングですと四国遍路、サイクリングですと、しまなみ海道があるので、そこを観光資源としてPRの強化をしていきました。
また、サスティナブルツーリズムに関心を持つ方も多いということで、サスティナブルの国際的な表彰を受けた大洲市も有力なコンテンツとして、オーストラリアに特化したプロモーションを推進してきました。そうしたなかで宿泊場所の確保や認知度向上という観点でAirbnbさんと連携させていただくことになり、セミナー開催等により多くの宿泊施設に登録していただきました。
さらに、本県単独事業として古民家等を活用した宿泊施設の整備などの観光集客に繋がる取組みに支援を行うなど、宿泊客の引き込みに努めてきました。
大洲では空き家であった古民家などを活用してリノベーションし町一つを丸ごとホテルに見立てて、町の中を回遊してもらうというコンセプトで、地元自治体や金融機関、観光事業者等が連携し、NIPPONIA HOTEL 大洲 城下町として30室以上の宿を整備してインバウンドの方々に泊まっていただいているほか、県内の島では宿泊施設に2~3週間泊まれられるようなインバウンドの方々も多くいらっしゃるので、昔ながらの町並みやゆったりと流れる時間の魅力というのを伝えていくプロモーションも進めております」
愛媛県はインバウンドの受け入れの環境整備として補助金制度を設けており、外国人観光客の誘客のための古民家改装やレストラン開業などを支援している。