
●この記事のポイント ・愛媛県の2024年の外国人延べ宿泊者数が19年比で2倍以上に増加 ・韓国からのゴルフ客の獲得に注力 ・Airbnbと包括連携協定を締結し、古民家の宿泊施設化などを推進
今年1~6月の訪日外国人数(推計値)が2151万8100人(日本政府観光局発表)となり、過去最も速いペースで年間2000万人を超えるなど、引き続きインバウンドの増加傾向が続いている。各都道府県の外国人延べ宿泊者数の増加率にはムラがあるが、愛媛県の2024年の外国人延べ宿泊者数が19年比で+109.1%、2倍以上の増加と、都道府県別の伸び率では東京都や福岡県を抑えて2位になるなど、大幅に伸長していることが注目されている。その背景には愛媛県の積極的かつ地道な取り組みがあることは、あまり知られていない。同県に取材した。
●目次
韓国からのゴルフ客の獲得
なぜ愛媛県の外国人延べ宿泊者数は大きく伸びているのか。愛媛県観光国際課は次のように説明する。
「前提として、松山空港に発着する国際線の便数が大きく増えたというのが大きな要因です。24年はソウル線が2019年の週3便から週14便になり、台北線が復活し、新たに23年から釜山線も加わりました。そうしたなかで県としては大きく2つのフェーズで取り組みを行ってきました。
まず、国際線の直行便の就航による旅行客の増加は一過性で終わらせては意味がないので、新規旅行客とリピーターの確保のために、旅行会社やメディアを通じたプロモーションに力を入れてきました。特に力を入れてきたのが、韓国からのゴルフ客の獲得です。
韓国ではコロナ禍でゴルフをする人が急増するという現象が生じており、プレイ料金が日本の3倍ぐらいするため、訪日してゴルフをしたいという需要は増えてくるとの予想があったのですが、愛媛県は道後温泉や松山市の中心地から1時間圏内にゴルフ場が16カ所もあるんです。この利点を活かさないわけにはいかないということで、コロナ禍が明ける前くらいから、ゴルフ場や韓国の旅行会社などとゴルフ旅行者の誘客について話し合いをさせていただき、旅行会社向けに県内ゴルフ場の視察ツアーを実施したり、愛媛県ゴルフ協会の協力をいただき、旅行会社とゴルフ場をつないでいくような取り組みを行ってきました。これによって、ゴルフ場の韓国からの旅行者の受け入れ態勢の整備も進み、現在では日本人の利用者が少ない平日に多くの海外の方が来ていただけるようになっています。
このほか、松山市中心地はコンパクトシティになっているので、ホテルや道後温泉、松山城、大きな商店街を行き来しやすく、狭い範囲で買い物も観光も温泉も楽しむことができるということで、韓国語の飲食店マップを作成したり、カフェやパンのお店など、韓国からの旅行者の趣味趣向にあったマップを作成するといった細かい取り組みも行っております」