また、ブルガリアの政治学者イヴァン・クラステフ氏も「朝鮮半島の場合、朝鮮戦争(1950年6月~53年7月)後も南北両国は和平協定が締結されていないが、休戦状況は続いている。同じように、ロシアとウクライナ両国は(双方の譲歩と妥協が不可欠の)停戦・和平協定の締結は難しいとしても、戦場での戦いを休止し、その状況が続く、といった朝鮮半島的休戦シナリオは考えられる」と述べている。

「朝鮮モデル」は和平協定を締結するまでの暫定的な解決策だ。ただし、非現実的な和平案に拘って時間を浪費する時ではない。コトキン教授やクラステフ氏には、「ロシアの化学兵器または生物兵器がキーウの水供給を汚染したり、ロシアの特殊部隊がヨーロッパに多大な損害を与える可能性がある。プーチン大統領が大量破壊兵器に手をかける前に、ウクライナ戦争を早期停戦(ceasefire)し、休戦状況(armistice)に持ち込まなければ危ない」といった現実的危機感が働いているのだろう。

いずれにしても、フランスの雑誌でのゼレンスキー氏の発言は「朝鮮モデル」型休戦案が関係者の間で再検討されていることを示唆している。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年9月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。