続いて、1人あたりNNIの推移についても確認してみましょう。
日本は海外からの正味の所得が他国よりも多い特徴がありますが、一方で固定資本減耗も多く、差引でどれだけ国際的な立ち位置が変化するのか注目したいところです。

図3 1人あたりNNI 名目 購買力平価換算値OECD Data Explorerより
図3が1人あたりNNI(名目、購買力平価換算値)の各国の推移です。
各国とも右肩上がりで推移していて、各国間の関係性は1人あたりGDPとそれほど変わらないようです。
日本はやはり伸び具合が緩やかで、近年ではポーランドに肉薄されている状況となっています。
1990年代では同程度だったドイツやフランスなどとも差が開いている事がか確認できます。
3. 1人あたりNNIの国際比較
2023年の1人あたりNNIについて国際比較してみましょう。

図4 1人あたりNNI 名目 購買力平価換算値 2023年OECD Data Explorerより
図4が2023年のOECD各国の1人あたりNNI(名目、購買力平価換算値)を示したものです。
比較のために各国の1人あたりGDPも併記しています。
基本的には1人あたりGDPと1人あたりNNIには強い関係がありそうですが、ルクセンブルクやアイルランドは乖離が大きいようです。
どちらも人口の少ない国で、海外から来た労働者が稼ぐ分がGDPに大きく寄与している事が窺えます。
恐らくは分母となる人口が自国籍の人口となるため、他国から自国に来て働く人の稼いだ分も含めた付加価値を、自国籍人口のみで割る事で割増しで評価されている面があると考えられます。
雇用者所得の受取と支払のバランスを見る事で、このあたりが明らかとなるかもしれません。
後日、国民純所得の内訳についても確認してみたいと思います。
グラフを見ると、日本は40,304ドルでOECD36か国中25番目の水準となります。
他の主要先進国ともずいぶん差が付いていて、スロベニアやチェコなど東欧諸国も下回ります。