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1. 1人あたりGDPの推移
この記事では、国民の正味の所得水準となる人口1人あたりの国民純所得(NNI: Net National Income)についてご紹介します。
今回は名目値、次回は実質値を共有いたします。
国民純所得(NNI)は、国内総生産(GDP)に対して海外との所得の受払いを差引した国民総所得(GNI)に対して、更に固定資産の維持費用とも言える固定資本減耗を差し引いた指標です。
国民(政府、企業などを含む)の正味の所得総額を表す指標と言えます。
国民総所得(GNI) = 国内総生産(GDP) – 海外からの所得の純受取 国民純所得(NNI) = 国民総所得(GNI) – 固定資本減耗

図1 1人あたりGDP、1人あたりGNI、1人あたりNNI 日本国民経済計算より
日本の1人あたりGNI(国民総所得)は、海外からの受取が多い分だけ1人あたりGDP(国内総生産)を上回ります。
1人あたりGNIに対して、固定資本減耗分だけ差し引いた1人あたりNNI(国民純所得)は固定資本減耗分だけ目減りします。
1人あたりNNIの国際比較に当たり、まずは1人あたりGDPの推移から確認してみましょう。

図2 1人あたりGDP 名目 購買力平価換算値OECD Data Explorerより
図2が主要先進国の1人あたりGDP(名目、購買力平価換算値)の推移となります。
G7の他に、経済水準が近く人口の多い韓国、スペイン、ポーランドを加えています。
購買力平価でドル換算する事によって、物価水準をアメリカ並みに合わせた数量的な比較をすることになります。
各国とも右肩上がりの成長が続いていますが、日本は1990年代の比較的高い水準から、近年ではかなり低い水準へと立ち位置を変化させています。
2024年ではG7各国に加えスペインや韓国を大きく下回り、ポーランドともかなり近い水準となっています。