段階的成長戦略で市場創出を目指す
wakabar の企業成長シナリオは、段階的なアプローチで構築されている。
「まず楽しく自転車に触れるライト層を巻き込むため、自転車セルフツアーガイドというサービスを展開している。ヨーロッパでは一般的なアクティビティで、ガイドさんの同行なしで自転車ツアーを行う仕組みだ。このアクティビティをデジタル化した上で、日本に普及させようと、滋賀県からスタートした。ここは売上につながりやすいので基盤作りに活用している」と短期戦略を説明する。
中長期的には本格的な安全システムへの展開を計画している。「次はルールを理解したい層、一般の大人にwakabarの安全システムを使ってもらい、いずれ子供へと踏み込んでいく。最終的には自転車への内蔵まで段階的に進めたい」と展望を語る。
収益の柱としてはBtoCサービスを基盤とし、競合については「現状では見当たらない。安全システム分野への参入企業がないのは、そもそもこの分野が研究中で、一年単位では到底できるものではないため、企業が参入したいと思えない領域だから」と分析する。競合優位性については「ネットワーク力と、東京大学で研究するエンジニアによる最先端技術の活用、そして早期スタートによるデータ蓄積とブランド構築が強み」と自信を示している。
wakabarが目指すのは、単なる事故防止を超えた社会変革だ。「パーソナルモビリティがより活躍する社会が望ましい。日本では自転車が歩行者の延長として認識されているが、一つの乗り物としての立ち位置を確立したい。4人乗り、6人乗りの車に1人しか乗らないもったいない状況から、1人でもふらっと動けるモビリティが安全に走行できる環境を整えていく」と、交通事故ゼロの先にある未来社会への構想を描いている。
(文=UNICORN JOURNAL編集部)