
●この記事のポイント ・wakabar株式会社が事故を根本的に無くす走行サポートアプリで自転車事故ゼロ社会を目指す ・スマートフォンアプリで危険箇所警告と安全教育を両立するシステム構築 ・自治体連携による実証実験から全国展開へ、交通事故根本解決に挑戦
自転車事故の根本的解決を目指すスタートアップ、wakabar株式会社(代表取締役:杉山誠一郎氏)が注目を集めている。同社は「自転車の乗り方意識を変え、自転車事故ゼロの社会にする」をビジョンに掲げ、GPS技術を活用した自転車用安全アプリとデバイスの開発を進めている。従来の事後対策ではなく、事故の事前予防に焦点を当てた逆転の発想で、交通安全分野に新たな風を吹き込もうとしている。
●目次
スマートフォンGPSで危険予測する技術基盤
wakabar株式会社の技術的な核心は、スマートフォンに内蔵されたGPSと危険箇所を収集した マップを活用した危険感知システムにある。
「基本的にスマートフォンの GPS などを使って、スマートフォンアプリで実装している。自転車の安全業界でGPSを使って危険を感知するという分野は、今ちょうど研究が始まっているところで、私たちは多くの人に使ってもらって属性データを集め、独自の仕組みを作ろうと取り組んでいる」と杉山氏は説明する。
同社では専用デバイスの開発も進めているが、現段階ではスマートフォンで完結させることを優先している。
「デバイスも作っているが、一度出してしまうとロットの関係で修正が難しい。修正期間中はスマートフォンで全て完結させ、いずれはデバイス化、さらには自転車への内蔵まで発展させたい」と将来展望を語る。技術開発を担うのは、東京大学大学院でテクノロジーと人間の未来を研究する南田桂吾氏(CTO)だ。杉山氏と南田氏は近畿大学のスタートアッププログラムで出会い、4~5年にわたって協働している。
「彼の研究テーマであるテクノロジーと人間の未来という観点から、wakabarは人間のライフスタイルを助ける仕組みとして彼の興味を引いている」と、杉山氏は技術陣への信頼を示す。