在英イスラエル大使館は、音楽祭での「扇動的で憎悪に満ちた」発言に不快感を表明。音楽祭の主催者側はヴィランの発言は「明らかに一線を越えていた」との見解を示しました。
公衆秩序違反か
地元警察はボブ・ヴィラン及びその後に登場したアイルランドのヒップホップ・グループ「ニーキャップ」について「公衆秩序違反」として捜査を開始しました。ニーキャップは過去にイスラエルによるガザ地区での軍事行動をジェノサイドと表現しています。
6月30日、米国務省は「憎悪に満ちた暴言を踏まえ」、デュオのビザを失効させたと発表しています。
ボブ・ヴィランは10月下旬から開始予定だった米国ツアーを中止せざるを得なくなりました。これ以外にも出演予定のイベントが中止される事態が相次ぎましたが、デュオはソーシャル・メディアに「沈黙は選択肢ではない。私たちは大丈夫だ。苦しんでいるのはパレスチナの人々だ」と投稿しています。
ボブ・ヴィランは声明文の中で、「私たちはユダヤ人、アラブ人、その他の人種や集団の死を望んでいるわけではない。求めているのは、暴力的な軍事機構の解体だ」と書きこみました。
もし出演させなかったら・・・
「イスラエル国防軍に死を」と聴衆に呼び掛ける行為は、筆者も「一線を越えている」と思いました。でもこのデュオを音楽祭に出演させない、あるいは放送しない選択肢は、表現の自由の観点から批判が発生したかもしれません。
2023年10月にパレスチナのイスラム組織ハマスがイスラエルに大規模な襲撃を仕掛け、イスラエルがハマスの壊滅と人質の奪還を掲げてガザ地区への大規模な攻撃を始めてから、ガザ地区は壊滅状態になっています。
イスラエルの継続した攻撃を「自衛権の行使」として支持し続けるのか、あるいは非難するのか。現在、イスラエルとガザの紛争はより一層人々の強い感情を掻き立てるトピックになっています。
ボブ・ヴィランの呼び掛けはアーティストならではの挑発行為であり、私たちに考える種を提供したのではないでしょうか。