「この頭を巡らせる」という過程こそが、脳にとって情報を咀嚼し理解(エンコード)する過程であり、学習効果を増加させる鍵となります。
研究では、この重要な瞬間に単語を無理矢理に声に出そうとすると、限られた脳の認知リソースが分割され、単語の理解(エンコード)が妨げられてしまうことが判明。
認知リソースの分散は結果として「二兎を追う者は一兎をも得ず」な状況を作り出し、最終的な学習効率を低下させていました。
一方、新しい単語を聞いてから4秒ほど待って声に出す場合、認知リソースの分散や学習効果の低下が起こらなくなっていることがわかりました。
この結果は4秒ほど待つ間に脳が新しい単語の理解(エンコード)を完了させ、認知リソースに余裕がうまれることを示します。
研究者たちは認知のメカニズムを理解することができれば、教師が生徒に新しい単語を効果的に学習させることが可能になると述べています。
もし近い将来、外国語を学ぶ機会があったのならば、単語を直ぐに声に出さず、脳が単語の音を咀嚼する時間(4秒ほど)を待ってみたほうがいいでしょう。
(※この記事は2023年に書かれたものを再編集してお届けしています)
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参考文献
Repeating New Words Out Loud Isn’t Always the Best Way to Learn Them
https://neurosciencenews.com/language-learning-repetition-22294/
元論文
Wait long and prosper! Delaying production alleviates its detrimental effect on word learning
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/23273798.2022.2144917
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。