知覚学習とは2つの音素を区別したり、図形のパターンを素早く認識するために行われる訓練として知られています。
人間は適切な訓練さえ積めば、訓練を受けていない人に比べて遥かに正確に発音を認識することが可能であり、それは外国語の単語についても当てはまります。
(※医者がX線画像から腫瘍の影を的確に見抜けるようになるのも音楽家が楽器のいい音色と悪い音色を聞きわけられるのも、知覚訓練の積み重ねによるものと考えられています)
調査にあたってはまず、300人の被験者たちに対して新しい12個の単語を4つの方法で学習してもらいました。
1つ目の方法は、たた聞くだけ、2つめの方法は聞いた直後に声に出す、3つ目の方法は聞いてから2秒後に声に出す、4つ目は聞いてから4秒後に声に出す、というものでした。
被験者たちは上記の4つの方法のいずれかで12個の単語について学習し、翌日に知覚学習の効果(単語を正確に聞きわける能力など)が確かめられました。
結果、新しい単語を聞いた直後に声にすると、単に聴いていただけに比べて学習の混乱が起こることが判明します。
一方、単語を聞いてから4秒間待ってから声に出すことで、このマイナス効果が相殺されることが判明しました。
これらの結果は新しい単語を聞いた直後に声に出すことは、学習効率を悪化させることを示します。
しかしそうなると気になるのが、その理由です。
なぜ聞いた直後に声に出すことが、知覚学習の妨げになっていたのでしょうか?

研究者たちによれば、原因は私たちの脳の認知リソース(資源)の少なさにあるとのこと。
新しい単語を聞いた直後、脳の認知能力はその単語の理解(エンコード)をするため全力を尽くします。
たとえば「Unicornio(ユニコールニオ)」という単語をはじめて耳にしたとき、日本人や英語を母国語とする人は「ユニコーンのこと?」などと頭を巡らせることになります。