移民大国カナダがなぜ世界のリーダー国として君臨できるのかといえば私を含め、多くの移民はカナダの厳しいルールを守ることを前提に滞在を許されているギブアンドテイクの契約があるからなのです。法律の縛りや道徳観も含め、移民の義務を果たさずルール違反すれば当局から「deport(国外退去命令)」の紙が来るのも知っています。事実、私の知り合いはたった一枚のその紙を受け取り、人生プランが狂った結果になりました。
一方、日本は外国人を受け入れる、受け入れないという議論の前に日本に外国人が理解、順守できる法律が存在するのか、という点を指摘したいと思います。先日、日本に住むスイス人の友人からも同様の指摘がありました。

石破首相と岩谷外務大臣 首相官邸HPより
日本の法律は緩く、「誠実協議条項」と称される「…双方が誠意をもって協議し、解決するものとする」というアレが外国人と日本人の解釈の差を生んでいると思うのです。外国人とどうやって誠実なる協議が出来るのでしょうか?日本の法律は外国人が絡むことを前提として作られてないと言い切ってもよいと思います。もっと言えば一昔前の善良なる日本国民が性善説に基づいて社会が営まれていた時のベースであり、今のように法律の抜け穴を探すことをコンサルと称して商売にしている輩が跋扈する時代を放置した点は大いに反省すべきでしょう。
日本は外国人との共生にはまだ基礎部分で不十分なところがあります。それを克服し、国民意識を変えることも重要ですが、それ以前に外国人を受け入れたい政府の意識と体制、仕組み、法律を改革しないと江戸幕府的な中途半端なものになりかねません。
日本は今、大きな変革の時期にあります。これは日本が望む望まざるにかかわらず、であります。とすれば政府は整備すべきを整備し、国民レベルでは共生の議論などは深めていくべきでしょう。民族問題など全く無縁だった日本ではなかなか大変だと思いますが、アメとムチという発想は重要です。ルール違反者は即刻国外追放という厳しさをもっと強く打ち出す一方、日本社会が次の成熟段階への発展を目指してもらいたいと思います。