なぜ「ありえない話」を真剣に研究するのか

 地球外生命体の探査機という話は、夢物語に聞こえるかもしれない。しかし、この研究の真の価値は、単なるロマンの追求ではない。その目的は、何が「自然現象」で、何が「真に異常な現象」なのかを科学的に区別するための、体系的な枠組みを構築することにある。

 今後、ルービン天文台などの新しい観測技術によって、今後10年間で数十個以上の恒星間天体が発見されると予測されている。その中に、もし本当に異常な天体が見つかった場合、それを客観的かつ厳密に検証するためのプロトコル(手順)を今から準備しておく必要があるのだ。

「もし、あるいは“いつか”我々が本当に異常なものを発見した時、可能な限り最も厳格で詳細な確認が必要になる」と論文の著者らは強調する。

 太陽系を訪れる謎の天体。それは今のところ、ただの彗星や小惑星に過ぎないかもしれない。しかし、それを真剣に調査する営みこそが、人類が宇宙の謎に科学的に挑むための、重要で壮大な一歩なのである。

参考:The Debrief、ほか

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