■雌雄モザイク昆虫、子供は産めるのか?
「雌雄モザイク」と聞いて、その生殖能力に疑問を感じた読者もいることだろう。
こちらについては、「繁殖を行なうための交尾器の形状が通常のオス・メスと異なり、繁殖ができないことは、様々な昆虫で報告されています」との回答が得られている。
たとえば、クロマルハナバチの雌雄モザイク個体の体内の状態を調べた研究では、外部形態は比較的明瞭に左右でオス・メスの特徴が見られるにも関わらず、体の内部は必ずしも左右で明瞭に分かれているということはない、という結果が出ているという(引用元:玉川大学)。
また、同じクロマルハナバチの別の事例では、雌雄モザイク個体が、メスに対して猛然と接近するものの交尾直前でやめてしまう、という様子が複数回観察された、という事例が報告されている(引用元:JT生命誌研究館)。
こうした研究事例を踏まえ、大阪市立自然史博物館の担当者は「雌雄モザイク個体の体内の様子は外見以上に、あるいは我々が思っている以上に複雑であることが窺えます」と、頷いていた。

(画像=『Sirabee』より引用)
今回の取材に協力してくれた大阪市立自然史博物館では現在、特別展「昆虫MANIAC」を開催中。雌雄モザイクの昆虫標本も展示されているので、興味がある人はぜひチェックしてほしい。