■昆虫の専門家は「一生のうちで1匹出会えるかどうか」

大阪市立自然史博物館は大阪、その周辺の自然について、過去からの変遷を見ながら理解を深められる資料・展示が揃っているのが強み。

展示している標本はごく一部で、多数の標本コレクションを収蔵庫に所蔵し、西日本の自然史研究の大きな調査拠点のひとつとなっている。また、自然のことを一般の人に広く理解してもらえるよう、年間200回以上ものイベントを企画・実施しているのも魅力だ。

ミヤマクワガタの雌雄モザイク

(画像=『Sirabee』より引用)

(画像提供:響さん)

そんな大阪市立自然史博物館の担当者は、今回話題となったクワガタの正体について「画像のミヤマクワガタは、オスとメスの特徴が同一の個体に存在する、いわゆる雌雄モザイクの個体だと思われます」と、回答。

「モザイク個体」が指す内容について、「昆虫は人間を含む哺乳類と異なり、体を構成する細胞のオス・メスが、個々に独立して決まるという性質を持っているため、稀にこのような現象が起こると言われています」と説明する。

まさに生命の神秘だが、それだけに不明な部分も多く、担当者は「実際にこうした個体が産まれるのは、遺伝子に何らかの異常があることが原因と考えられています。誕生の確率は色々と言われていますが…そもそも、ミヤマクワガタが何個体いるのか調べることが困難なため、正確な確率を算出するのは難しいです」とも語っていた。

ミヤマクワガタ雌雄モザイク(1950年滋賀県産)

(画像=『Sirabee』より引用)

(画像提供:大阪市立自然史博物館)

しかし、そうした実情を踏まえた上で「個人的にはこのような雌雄モザイクの虫を野外で見つけたことはありませんので、『一生のうちにこのような1個体に出会えるかどうか』というような確率ではないかと思います」とも分析している。

昆虫のプロですら「一生のうちで1匹に出会えるかどうか」という、非常に貴重な存在だったのだ。