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VANLIFEの内装
VANLIFEの内装
特徴①:VANだけど部屋感のある空間設計
「VANLIFE」の室内に入って他のバンコンとの大きな違いを感じたのは、室内高や室内幅の違いによることだけではない。
ハイエースもフォードエコノラインやダッジバンなどのアメ車のフルサイズバンのバンコンも、どんなに大きくても、凝った内装を施しても、「車内感」が完全に抜けることがない。
DUCATOも、キャブコンのようにいかにもキャンピングカーといった印象の外観ではなく、外観はあくまでVANだ。
しかし、DUCATOベースのバンコンは、外観がVANの形を崩さないまま、キャブコンに似た感じのする室内になる。

エコノラインやダッジバンをハイルーフに改造したバンコンとサイズは似ていても、決定的に室内の雰囲気が大きく違うことになる理由は、壁が垂直に立っているからだと思う。
また、キャブコンのドアは小さいことが多いが、DUCATOはVANなのでサイドには大きく開くスライドドアが備わっている。
大きく開くスライドドアは荷物の出し入れがしやすくて便利なことはもちろんだが、垂直に立ち上がったサイドドアを開けておくと、家のリビングルームの掃き出し窓を開けたような雰囲気にもなる。

内装の施工は、「Toy-Factory」と「CRAFTPLUS」のコラボで生まれたバンライフモデルで、内装にはオークに無垢材がふんだんに使用されている。
機能性と合理性を追求したキャンピングカーは、無機質で冷たい雰囲気の内装となってしまうようなこともあるが、それとは対照的な内装だ。
プラスチックが多用されたような雰囲気が苦手な私は、この内装に大変好感を抱いたが、感じ方や好みは人によって異なるので、逆にこういった雰囲気を好まない人もいるであろうし、ギミック満載のような室内を好む人は、物足りないと感じるかもしれない。
しかし、そこで無理に万人受けしようとして中途半端なことになってしまうのは最も残念だ。
機能や装備をとにかく満載したキャンピングカーとは役割分担(VANLIFEの機能や装備が貧弱という意味ではない)しているようで、私はそこにも好感を持てた。
今回借りたレンタルの車両はシートがデニム生地の仕様だったが、室内の印象を大きく左右するシートカバーやベッドマットの生地はCRAFTPLUSデザインの8種類から選べるようになっているので、壁や内装に合わせて好みに組み合わせることができる点も魅力的だ。
実は合理的でもある内装材
取材車両の居住空間は土禁なので、居室内には靴を脱いで上がっていたのだが、雨天に当たってしまったため、出入りの際にサイドドア付近が濡れてしまうことは免れなかった。
しかし、自然な風合いを活かした床であるのに、濡れても雨が染み込んでしまうようなことはなく、さっと拭けば全く気にならず快適だった。
好きな人にとっては雰囲気抜群の無垢のオーク材は、ワインの樽などにも使用される木材であるため水濡れに強く、実用性にも大変優れた素材でもあるのだ。

アウトドアスポーツを好む人には、こういったウッディーな雰囲気を好む人も多いが、ウォータースポーツやウィンタースポーツ、泥汚れなどが多いスポーツなどにも使いやすく、趣向と実用性の高さを両立していることになる。
特徴③:自分好みに仕上げやすい室内
「VANLIFE」はオプション設定となっている装備が多い。
これは、標準装備を少なくして最低価格を低く抑えることが目的ではなく、実際に使って実感したのは、自分好みに仕上げやすくするための配慮ということだ。
たとえば、収納棚や就寝定員が多ければ便利そうだが、冷静に考えるとこれは「自分は使うことはないな」などと思うようなことも多い。
悪い言い方をすれば、余計なお節介のようなものが色々付きすぎてしまっているクルマが案外多いと私は思っている。
レンタル車両はフルオプションのような状態であったため、着脱式のテーブルと下段ベッドの一部にもなるセカンドシートが設置され、乗車定員も4名となっていたが、このセカンドシートもテーブルもオプションなので、標準の状態では乗車定員も2名だ。
装備を付けないという選択肢がある利点

セカンドシートがなかったとしたら、凸凹のない平らで広い空間が残るので、好みのイス・ソファー・テーブルなどが置ける。
また、そういった家具は車外でも使用できるので合理的でもある。
さらに、何も手を加えていないVANのように大量の荷物を積み込むこともできるので汎用性も高い。
そして、一つのベッドに並んで寝ない場合は、床が広いので1人はコットを置いて寝るようなこともできる。
実際に使用してみて、セカンドシートもテーブルも実用性は高いが、この「VANLIFE」を選ぶ人は、大人数での使用より2名で広々と使いたいと思うような人が多いのではないかと思うので、「付けなくても良い」という選択ができるのは良いことだ。
加工もしやすい
また、垂直に立った木の壁は、普通の家のように自分で棚を設えるなどといったこともしやすい。
好みや必要に応じて、調度品を必要な数だけ設置できる自由度があるといった意味でも、この木の壁は合理的だ。