■大阪府警は「テロ対策に活躍」と説明

混同している人も多いと思うが、警察犬と警備犬は全くの別物である。

両者共に「都道府県警に所属する」という共通点を持つが、警察犬が所属するのは刑事部で、優れた嗅覚を活かして犯人を追跡し、捜査活動を支援するのが任務。

一方、警備犬が所属するのは警備部で、警備現場での「爆発物の捜索」や「犯人の制圧」「災害救助」などが主な任務となる。そのため、万博の会場にいる犬たちは警察に所属はしているが、正確には「警備犬」なのだ。

大阪万博の警備犬

(画像=『Sirabee』より引用)

(画像提供:コマンドZばっかりさん)

今回の取材に対応してくれたのは、そんな警備犬たちが所属する大阪府警 警備部警備第2課の担当捜査官。

猛暑の中でも犬たちがパトロールを行なっている理由については、「万博の開幕時より、警備犬によるパトロールを実施しています。これは会場内のテロ対策として『見せる警戒』という意味合いもあります。会場内には常時、複数頭の警備犬がパトロールをしています」との回答が得られた。

大勢の人々が集まるこうした場所では、人間では気づけない「匂い」に敏感な犬たちの嗅覚が、テロ防止に活躍するのだ。

靴を着用させた経緯については、「地面が暑くなってきた7月くらいから、着用を開始しました。警察犬の訓練、育成、および現場での運用を行う警察官・ハンドラーの判断で、着脱させています」と、説明している。

犬たちにとって最も身近で、頼れるパートナーであるハンドラーならば、そうしたタイミングを決して見落とさないだろう。

大阪府警ではもちろんその他にも暑さ対策を施しており、担当捜査官は「ドッグトレーナーと連携し、犬の健康状態を日々ケアしています。例えば、当日には必ずハンドラーが警備犬の体調の変化を慎重に確認します」と、前置き。

続けて、「保冷剤を入れられる犬用の冷却ベストを着用させたり、小まめに水分補給させたり、むやみに直射日光の元でパトロールをさせず、日陰の部分を移動させたりしています」と、現場の状況を説明してくれた。

もちろん、これらは各警備犬や現地のコンディション、およびハンドラーの判断によって行われるものなので、万博会場に行けば「必ず見られる」という類のものではないことを、明記しておきたい。