ではトランプ関税の裁判は今後、どのような展開を見せるのでしょうか?連邦最高裁は政治的にトランプ氏が有利な立ち位置にあります。よって今回の関税裁判が違法とされる可能性は低いとみる向きが多いとされます。ただ、もしも裁判が公正妥当なものであるとすれば関税付与の根源理由である国際緊急経済権限法の解釈は明らかに行き過ぎで許容の度を超えていると考えています。よって今後のトランプ氏の政策に於いて仮に合憲であったとしても一定の影響はありそうです。一方、違憲と判断された場合、トランプ政権は一時的に相当の混乱を招く可能性があります。但し、関税付与へのこじつけ理由は他にもいろいろあるので逃げ道は他にもいくつか残されているとされます。よって天地がひっくり返るとは思っていませんが、政権への信任、そして外交的にはメンツを失うかもしれません。

ではFRB。注目のクック理事の不正疑惑に関する審理が連邦地裁で始まりました。双方の言い分を判事が聞くも何ら判断材料を示さなかったので今後、法廷闘争が本格化します。地裁の審理はたぶん、ひと月程度で判決が出るとみられますが、どのような判断になっても相当世間が騒がしくなるはずです。また、最終的に最高裁まで持ち込まれるとみられており、時間がかかる中でクック氏のその間の処遇にも注目されます。

またパウエル議長はFRBに向けられた様々な問題、例えばFRBの改修工事費を巡る問題でトランプ氏が建設現場にきて同行したパウエル氏と言い合いになるなどトランプ氏はFRB問題のネタ探しに余念がありません。トランプ氏の意図はFRBを政権の意のままに操りたいということなのでしょうか?そうだとすれば世界でほぼ普遍的とされる中央銀行の独立性の意味すら問いかねない訳で純粋な投資かとしては「おいおい、アメリカはどうなるのかね?」という疑問が湧いてくるのはごく自然のように思えます。

ここからは飛躍します。機関投資家は資金を運用する義務があります。つまり欲しい投資先がないから現金で不用意に長く持ち続けることは許されないわけです。ファンドマネージャーは地球規模で資金運用を担っているので儲かるところを探さなければクビになるだけです。となればどこに投資をするか、消去法に近い形になりやすくなるのは仮にそれが一時的だと言え、やむを得ない判断だろうと思うのです。